池江泰寿調教師が語る
「ステイゴールド」と血統の魅力、そして「アッシュゴールド」

『黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語』番外編インタビュー
石田 敏徳

池江:どちらかといえば、ドリームジャーニーのほうが父親によく似ていた気がします。馬体は小さいけれど俊敏だったところもそうですが、キャラクター、気性的にも、ドリームジャーニーのほうがわがままでしたから。競馬でも、ドリームジャーニーのほうがやっぱり成績の波が激しかったですよね。

 一方のオルフェーヴルは阪神大賞典や凱旋門賞のようなこともたまにはありましたが、トータルで見れば割と走るのが好きで、競馬でもすべての能力を出し切ってくれたタイプ。ステイゴールドの産駒にはちょっとムラなところがあるなかで、オルフェーヴルの勝率はかなり優秀でした。あの馬は(母の父の)メジロマックイーンの安定性も兼ね備えていましたし、姿形を見ていると(母系の種牡馬である)ノーザンテーストやディクタスにもよく似ていましたね。

ステイ産駒とディープ産駒の違い

──現在、日本の生産界で大きな成功を収めている種牡馬といえば、今年もリーディングの首位を快走しているディープインパクトが筆頭格にあたります。先生にとってはディープインパクトも“身近な存在”といえる馬ですよね?

池江:そうですね。ディープインパクトは僕が独立して、自分の厩舎を開業してから(父の池江泰郎元調教師が管理した)の馬ですが、どんな調教をしているかとか、長所、短所などは父からずっと聞いていましたから。

──ステイゴールドとディープインパクト。産駒の特徴を比較すると?

池江:ディープインパクト産駒のほうが、気性的にはやっぱり安定しています。管理する側からすると「やりやすい」という言い方になると思います。対してステイゴールドの産駒は激しいというか、我の強いタイプが多いので、なかなか難しい面もありますね。

──そのかわり、長打力の比較ではディープインパクト産駒にも全然負けていないイメージです。

池江:ええ。繁殖牝馬のレベルが決して高くなかったなかからも、これだけ大物を出してきたわけですから。ステイゴールドの種牡馬能力は相当高いんだなって思います。

──そうした特徴の違いを実感できるのは、ステイゴールドともディープインパクトとも、身近な立場で携わったおかげなのでしょうか?

池江:血統についてはあまり、先入観を持ちすぎてはいけないと僕は考えています。父親やお兄さんのときはこうだったからと、その経験に縛られて、まったく同じことをしようとしてはダメ。でもやっぱり、参考になることも多くて、父親、母親、あるいはきょうだいを直接、手がけたという経験は、非常に大きなアドバンテージになっています。