「青い惑星」はいかにしてできたのか『地球進化 46億年の物語』

すべては複雑に絡み合い「共進化」する
ロバート・ヘイゼン

 地球が年ごと、時代ごとに変化していることは、数多くの証拠が示している。スカンジナビア半島の氷河湖に見られる規則的な層をなす年縞(ねんこう)堆積物を調べると、一万三〇〇〇年以上にわたって、粗い砂とより細かい砂が交互に堆積していることがわかる。これは毎年の春の雪解けで浸食が急速に進んだ結果だ。南極大陸とグリーンランドで採取された氷河のボーリングコアを調べたところ、八〇万年以上にわたり季節ごとに積み重ねられた氷の層が現れた。また、ワイオミング州にあるグリーンリバー頁岩(けつがん)層の薄層堆積物には、一〇〇万年以上にわたり、毎年の出来事が保存されている。それぞれの層は古い岩石の上に広がっていて、変化が周期的であることがわかる。

 徐々に進行する地質学的プロセスの測定でも、地球の歴史の計り知れないほどの長さが示されている。広大なハワイ諸島が形成されるときには、火山活動がゆっくりと、しかし絶え間なく起こり、何百万年、何千万年にもわたり溶岩が幾重にも表面をおおっていったはずだ。アパラチア山脈をはじめとするなだらかな山脈は、何千万年もの間に起こった、ゆっくりとした浸食と大規模な地滑りでできたものだ。長い長い地球史の過程において、ときに不規則なプレートの動きで大陸が移動し、山が隆起し、海が形成された。

 地球は常に変化し、進化し続けている惑星だ。中心の核から地殻まで、絶えず変わっていく。現在も、地球の大気、海洋、陸地は、おそらく近年に例のないスピードで変化している。この世界の不安定な状況に関心を持たないのは愚かなことだし、私たちの多くは気にかけずにはいられないはずだ。私たちはエラトステネスと同じように、ごく自然に地球のことを知りたいと思い、また心配もする。しかし地球については、すでに多くが語られている。その驚くべき過去の物語、予想もつかない変化を続ける現在の状況、そして私たち自身を含めた将来像。それらの知識を最大限に利用しないのも、同じくらい愚かなことだ。

 私はこれまでの人生の大半を、活力にあふれ、複雑で、変化し続けるこの惑星を理解することに費やしてきた。少年時代には岩石や鉱物を収集し、部屋の中に化石や結晶、雑多な昆虫や骨をずらりと並べていた。研究者としての仕事を始めてからはずっと、地球にまつわるテーマを追っている。顕微鏡でも見えない原子の実験から始まり、造岩鉱物の分子構造を調べ、地球深層部の加圧調理器のような効果を再現しようと細かな鉱物の粒子を熱して押しつぶしてきた。

 時間を経るうちに、時間的にも空間的にもより大きなものへと視野が広がっていった。北アフリカの砂漠からグリーンランドの氷原、ハワイの海岸からロッキー山脈の頂、オーストラリアのグレートバリアリーフをはじめ一〇を超える国々の、化石となった古代のサンゴ礁。これら自然の書物が、元素、鉱物、岩石、生命と共に歩んだ、何十億年にも及ぶ地球の共進化の物語を伝えている。生命の地球化学的起源に鉱物が果たした役割へと研究テーマを移してから、私は嬉々として研究にふけってきたが、地球の歴史を通して、生命と鉱物との共進化は想像をはるかに超えるほどすばらしいと感じた。大陸のあちこちに存在する鍾乳洞を見れば明らかなように、生命から生まれた岩石があるだけでなく、生命そのものが岩石から生まれたのかもしれない。四〇億年を超える地球史において、鉱物と生命の共進化の過程、すなわち地質学と生物学は、驚くような形で絡み合っているが、それが注目されるようになったのはごく最近のことである。二〇〇八年、それらのアイデアが〝鉱物進化〟という論文として発表された。この賛否両論を呼んだ新たな議論は、一部の人たちが鉱物学における二〇〇年ぶりのパラダイム・シフトとして歓迎する一方、慎重派は現在の科学を地質学的な時間と絡めて再構成しようとする異端の説として不安視している。