[ボクシング]
杉浦大介「チャーリー太田が迎える“審判の日”」

スポーツコミュニケーションズ

試練でこそ見える真価

ジムメイトで同じく世界ランカーの荒川仁人とともに汗を流す。

 ボクシングとは、残酷なほどに厳しく、原始的なスポーツである。大勢の人々が見守る前で、リングという限られた空間で、半裸でパンチを振るい合う。ときに不可解な判定問題を別にすれば、優劣が運不運に左右される余地は基本的に存在しない。そして、いつか強敵と対戦したときに、リング上で誰もが経験する修羅の時間の中で、すべてのボクサーたちは自らの真の姿を世に曝す。

 味わったことのない苦境の中で、普段以上の力を出せるもの、最後まで粘り抜くもの、弱気になってしまうもの、諦めてしまうもの……ひとりの人間のまっさらな姿が見えるこの一瞬こそが、ボクシングで最もスリリングな時間である。八王子中屋ジムのチャーリーにとっては、このチャーロ戦こそが“真実の瞬間”になると筆者は信じている。

 これまでにないほど、つらく苦しい試合になるだろう。紆余曲折を経ながらも世界の頂点に迫ってきた32歳は、試練の中でどんな姿を見せてくれるのか。
 5月24日は“審判の日”である。リスクは大きいが、乗り越えれば得られるものも小さくない。苦難を雄々しく突破すれば、その先に、チャーリーが長く夢見てきた世界タイトル戦のリングがはっきりと見えてくる。

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを 中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の 媒体に記事、コラムを寄稿している。この3月に最新刊『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)を上梓。
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