[ボクシング]
杉浦大介「チャーリー太田が迎える“審判の日”」

スポーツコミュニケーションズ

求められる明白な勝利

 ただ、兄ジャーマルとともに双子ボクサーとして注目されてきたチャーロは、簡単な相手ではない。兄と比べてパワーこそ劣るものの、テキサス州出身の23歳は平均以上のスピードとボディワークを備えた好ボクサーである。1月には元世界タイトル挑戦者のガブリエル・ロサドに明白な判定勝ちを収め、真価を疑問視する声を吹き飛ばしてみせた。

「ジャーメルのタイトル挑戦は、チャーロ兄弟にとって、私にとって、ドリーム・カム・トゥルー。双子の兄弟が同時に世界タイトルを保持したケースは過去に1度しかなかったはずだから、歴史的なことになる」

当日のベルセンターには2万人近い大観衆が集まりそう。正真正銘の大舞台である。

 GBPのリチャード・シェイファーCEOはそう語り、チャーロ兄弟のプッシュに意欲をみせる。双子ボクサーは米国内でも売り出しやすいだけに、プロモーター側にとっても順調に育って欲しい人材のはず。そんな背景を考慮すれば、GBP主催の興行ではないとはいえ、チャーリーがチャーロ戦で微妙な判定を握るのは難しいのではないかと勘ぐってしまう。

 判定によるやり切れない結果を避けるために、チャーリーは分かりやすい形でポイントを奪う必要がある。自慢の強打でダメージを与え、KOできればもちろんベター。これまでで最強の相手を迎える正念場のファイトを、“The Lightning(チャーリーの愛称)”は明白な形で制さなければならない。

「うまく相手にプレッシャーをかけていくつもりだ。良いディフェンスとバランスを保ちながら、コンビネーションを打ち込めればチャンスは出てくる。自分の思うような展開になっていないと感じたら、プレッシャーを強めて勝負をかけていかなければならないだろうね」

 そう語るチャーリーの真価と覚悟が、モントリオールのリングで問われることになる。スピードでは相手がやや上回るだけに、序盤はポイントを奪われることもあるかもしれない。本人が半ば予期している通り、中盤あたりで不利な戦況に陥ることも十分に考えられる。そんな難しいファイトで、チャーリーがどのように活路を開いていくかに興味はそそられる。