「子どもたちが技術を楽しむだけではなく、ここで学んだ技術が社会の中でどのように機能するかも知ってもらいたいと思っています。
『ゲームで遊ぶ』時と、『ゲームをつくる』時では、向き合い方も身に付く力もまったく異なります。ゲームやロボットなど、子どもたちが興味を持てるようなものを生かして『つくる』子どもを増やしていきたいです」
今年4月、渋谷に開校した学習塾「Qremo(クレモ)」の教室長を務める島田悠司氏は同校の意義をこのように語る。スタートして1ヵ月の教室で、同氏にお話を伺った。
塾を運営するのは、企業向けの障がい者雇用支援を行うことでも知られるソーシャルベンチャー企業「ウイングル」(6月1日より、「株式会社LITALICO」に社名変更)。学習障害をはじめとする発達障害を抱える子どもたちを対象とした学習塾「Leafプログレス」を展開している。
その中で「苦手があるから通うのではなく、ポジティブなものを持って帰ってほしい」という思いで、陸上アスリート為末大選手を招いた陸上教室などを開催。
そのほかにもスキーや料理のプログラムもあり、『障害のない社会をつくる』という同社のビジョンのもと、障害の有無にかかわらず楽しめる空間や機会を提供してきた。
一方でそのようなプログラムは学習塾の範疇を超えたことでもあるため、昨年からLeafプログレス内にIT&デザインコース「LEAF TECH TOKYO(リーフテックトーキョー)」を設置し、試験的に授業を実施。それを発展させたものが、現在の「Qremo」というわけだ。
この塾では最新テクノロジーを通じた学びの場を提供し、「つくる人材」の輩出を目指す。個性や価値観を尊重し育むことが、子どもたちの自己肯定感や武器につながると同時に、多様な選択肢と生き方を知ることができる。