あなたには本当の「友」がいますか?

その人はあなたを助けてくれますか?
週刊現代 プロフィール

「根鈴さんと一緒にトレーニングをしているとき、『何を意味のないことをやってるんだ』、『そんなことは止めろ』と周囲からは言われました。しかし根鈴さんはどこ吹く風。トレーニングを続けていくうちに、打球の飛距離も伸びていきました」

気付けばそばにいた

アメリカでの挑戦を経て、'03年にGGは入団テストを受けて西武入りする。しかしホームランバッターとしての素質が開花したのは、何年もの雌伏の時代を過ごしたあとだ。その間も根鈴はトレーニングパートナーとして、また私的な相談相手として、GGを支えてきた。

根鈴さんがいたからいまの自分があると、GGは断言する。

「男の友情とは、見返りを求めず相手のために動いてしまうことだと思います。自分のことより、相手のことを考えて行動する。根鈴さんがそうでした。僕と一緒にトレーニングをしても、彼には何の得もありませんでしたからね。それでも、僕の可能性を信じてくれて、つらいときはいつも近くにいてくれた。僕は根鈴さんから受けた情愛を、誰かほかの友に返せるだろうか。そんなことを考えています」

異動や転勤によって同じ職場にいる時間は短く、出世競争や厳しい上下関係があるため本音で語り合うのも難しい。そんなサラリーマンの世界で、定年までのあいだに、心から信頼できる友をつくれる人は少ないだろう。しかしなかには、サラリーマン生活において生涯の友を見つける者もいる。

元第一勧業銀行の行員で、作家の江上剛がその一人だ。

「逮捕者11人を出した総会屋利益供与事件が、'97年、第一勧銀で起こりました。そのとき、当時広報部にいた私に、行内の体制を改革しろと指令がくだりました。体質が改善できなければ、新たな逮捕者が出るという危機感があり、私は現場に強い10人を選抜してチームをつくりました。このときのチームのメンバーが、いまも友情が続く『戦友』になりました」

江上が集めたのは、挫折も含めて現場で苦労を重ねてきた一家言あるベテランたち。エリートは外した。経験上、エリートは修羅場を前にすると逃げたり、物陰に隠れたりしてしまうことが多い、というのが理由だった。

「いままで甘い汁を吸ってきた暴力団や総会屋からの妨害も起こりうる、命がけの仕事でした。チームは警察の保護対象にもなっていたし、全員がカバンの中に警棒を入れて歩いていました。実際会社には、あちらの筋の人が大勢来ましたし、街宣車まで回されましたからね」

銀行にとって直接利益を生むわけではない、ある意味『負を背負いこむ仕事』だった。しかしだからこそ、友情が生まれたという。

「10人はみな、チームを組んで初めて会う人がほとんどでした。それぞれ思うところはあったでしょう。なかには『こんな仕事やりたくない』と思っていた人もいたはずです。そんな思いを抱えながらも、ともに戦っていった。そのなかで、決して派手ではないけど、確かな友情が育っていくのを感じました」