あなたには本当の友がいますか?こんなに長く生きてきても、いないもの。その人はあなたを助けてくれますか

週刊現代創刊55周年特別企画 
週刊現代 プロフィール

「誰かが火をつけたのではないか」、宍戸はそう疑心暗鬼になっていた。そんなときだったからこそ、かつての仲間たちからの損得勘定のない励ましが、心に響いた。

「誰にも見せることはなかったけれど、涙が出ました。火事ですべてを失ったと思ったが、友情だけは残っていたんです。

日活の仲間とは、別に頻繁に会うわけではない。全員が全員、気が合うわけでもない。それでも何かあれば駆けつけてくれる。同じ時間を過ごしたことで生まれる結びつきの強さを、私は改めて知りました」

'08年の北京オリンピック。準決勝と3位決定戦での、いずれも敗戦につながった落球。「国民的失敗」ともいえる痛恨のエラーだっただけに、GG佐藤(現ロッテ)は世間から大バッシングを受けた。

帰国したGGは、とても野球を続けられる精神状態ではなかった。「死にたい」と妻にメールを送り、すべてから逃げ出したいと思い詰めたという。

そんなGGを支えたのは、学生時代からの親友だった。

「学年が1つ上の大学時代の野球部の先輩で、根鈴(雄次)さんという人です。北京から帰国した僕は非難にさらされ、ドン底だった。そんなとき根鈴さんは、特別な言葉をかけたり行動をするわけではなく、ただ近くにいてくれたんです。こんな俺にも味方がいるんだ、応援してくれる人がいるんだ、それがわかるだけで救われました」

根鈴は、大学時代もいつもGGのそばにいた。

「下級生の頃の僕は幽霊部員で、完全に腐っていた。小技ばかりの小さくまとまった野球しかできず、レギュラーもとれない。もう野球は辞めようとすら思っていました。そんな僕に『お前には潜在能力がある。ホームランバッターになれる』とひっぱり上げてくれたのが根鈴さんでした。

なぜ根鈴さんが僕に良くしてくれたのか。はっきりとした理由はわかりません。理由はわからないけどいつも僕のことを気にかけて優しくしてくれる、そんな人でした」

そこからGGの肉体改造が始まった。

「根鈴さんと一緒にトレーニングをしているとき、『何を意味のないことをやってるんだ』、『そんなことは止めろ』と周囲からは言われました。しかし根鈴さんはどこ吹く風。トレーニングを続けていくうちに、打球の飛距離も伸びていきました」