全国民必読 気をつけろ! 鳥インフルエンザは熊本だけでは終わらない

週刊現代 プロフィール

今回、簡易検査で「H5亜型」のウイルスに感染していると判明した時点で、熊本県はすぐさま自衛隊の投入を決めた。遺伝子検査の結果を待たずに、鶏の殺処分に踏み切ったのだ。

「3年前の宮崎での苦い経験が生かされたのだと思います。当時は、異常な死に方をしている鶏を見つけた農家が家畜保健衛生所に通報せず、勝手に食肉加工センターに持って行ってしまうという、とんでもない事態が発生しました。さらに、殺処分より補償をどうするかと揉めているうちに感染が拡大。13もの養鶏場で鳥インフルエンザが発生するに至りました。感染した鶏を見つけたら、とにかく急いで根絶やしにする。鳥インフルエンザの拡散が防げるかどうかは、一刻一秒を争う、時間との戦いなのです」(全国紙社会部記者)

実際、殺処分は夜を徹して行われた。

「『特定家畜伝染病防疫指針』では、安楽殺と呼ばれる方法が推奨されています。ポリバケツを大きくしたような容器に鶏を入れて蓋をし、ノズルを通してCO2を送り込む。するとものの数十秒で鶏は二酸化炭素中毒になり、死ぬのです」(北海道大学大学院獣医学研究科・迫田義博准教授)

この方法だと、何羽も同時に殺すことができるうえ、作業者が鳥インフルエンザに感染するリスクが低減されるという利点がある。だが、その作業は過酷だ。

鶏の死体はフレコンバッグと呼ばれる工事用資材の運搬に使われる頑丈な袋に入れて、地中に埋められる。

多良木町役場の職員はこう漏らした。

「深さ4~5mの穴を掘って、袋に詰めた鶏を埋める作業を3交代で24時間、ぶっ通しでやっています。もう疲労困憊ですよ。袋に詰めてありますが鶏の死体は臭い。マスクをしていても匂いは防げません。何より防護服は空気を通さないので、とにかく暑い。臭さと暑さで頭がおかしくなりそうです」

農場主は隔離されていた

福島第一原発の廃炉作業に関わる作業員が、やはり防護服を着ての作業で脱水症状を起こし、何人も倒れていることが連想される。

鶏の死体にくわえ、敷地内にあるエサや鶏舎に残された糞もすべて処分しなければならない。一連の作業を行う際に作業員が着ていた防護服も同様に処分する。その後、敷地内に石灰を撒いて消毒をしてようやく、防疫措置は形の上では終わることになる。防疫措置が終わり、10日が経過した時点で、周辺の農場から感染鶏が出なければ、X農場を中心に半径3~10㎞圏内に設定された「搬出制限」が解除される。