全国民必読 気をつけろ! 鳥インフルエンザは熊本だけでは終わらない

週刊現代 プロフィール

実際、記者も城南家畜保健衛生所を訪ねたが、

「うちは現場の家畜保健衛生所で、てんやわんやで、取材にはお答えしかねます。スタッフも今は全然いない。人員が手薄で……。みんな24時間ほとんど寝ずに(鳥インフルエンザ感染発覚から)3日間やってきた。だいぶ疲れていまして」

と人手不足による混乱を正直に認めるのだった。

'11年に宮崎で鳥インフルエンザが大発生し、100万羽を超える鶏が殺処分されて以降、県の家畜保健衛生所、養鶏業者とも危機感を持って情報収集に努めている。「中国や韓国で流行している」という鳥インフルエンザ情報が、逐一、家畜保健衛生所から農家に届けられていた。いずれ日本にも来るかもしれない。A氏自身も漠然とした恐怖を抱いていた。だが、実際に上陸してみると「まさか、自分たちの近くで出るとは」と半ばパニックに陥り、あわてて鶏舎を水洗いし、消毒したという。

「鳥インフルエンザの破壊力は凄まじい。今回、感染した鶏が見つかったX農場では、何の前触れもなく1100羽もの鶏が突然死んだといいます」(A氏)

X農場のようなブロイラー系の養鶏場では、鶏舎にノコくずを敷いて、ヒナを入れたら、出荷するまでの約50日間、外には出さない。糞もそのまま。温度調節をするため、鶏舎は密閉されており、なおかつ鶏がギッシリと詰め込まれている。だから一度、鳥インフルエンザウイルスが発生すると、爆発的に感染が広がるのだという。多良木町で養鶏場を営むB氏が解説する。

「死亡する鶏の数が倍々で増えていくので、ものの数日で全滅してしまうのです」

夜を徹して殺処分する

B氏によれば、鶏はちょっとしたことですぐに死んでしまうという。たとえば今回、報道陣が飛ばしたヘリコプターが低空飛行したさい、騒音に怯えて鶏舎の隅に逃走した鶏が折り重なって圧死した。エサをのどに詰まらせて死ぬこともよくあり、これは養鶏業者の間では「頓死」と呼ばれているという。ただ、「異常な死に方はすぐにわかる」とB氏は言う。

「家畜保健衛生所からは『5羽以上まとまって死んだら報告するように』と言われていますが、私は鶏がうずくまって死んでいるかどうかに着目します。頓死の場合、鶏は仰向けに倒れる。ところが鳥インフルエンザが疑われる場合は、うずくまって首を横にして息絶えるのです。足がうっ血してどす黒くなり、ピンク色のトサカはチアノーゼ反応で紫色になる」

異常が見つかった農家には獣医師が派遣される。獣医師はまず、医療用綿棒に似た器具で鶏の喉と排泄口の粘膜を拭い取る。続いて採血。死亡した鶏から肺(気嚢)や肝臓といった臓器を持ち帰って、簡易検査キットで鳥インフルエンザかどうかを判定する。