[サッカー]
大野俊三「日本代表W杯メンバーの選考はノーサプライズ!?」

スポーツコミュニケーションズ

ブラジルW杯、ワントップ争いは大迫が優位

 男子サッカーでは日本代表が、7~9日に国内組の選手のみを集めた候補合宿を行いました。アルベルト・ザッケローニ監督は、今回の合宿にはベテランを招集しませんでした。私は、その狙いのひとつとして、若手がベテランに萎縮してしまうことを防ぎたかったのだと見ています。伸び伸びとプレーさせることで、選手本来の能力を見極めたかったのでしょう。ベテランについては、これまでの視察の中である程度の情報を得ている。しかし、プレーの内容にムラがありがちな若い選手は目の前で実際に見てみないと、判断できないのです。

 また、他の選手と交わった時にどういうプレーをするのかも確かめたかったのでしょう。周囲の選手とのコミュニケーションが十分にとれている所属チームでは、高いパフォーマンスを発揮することができても、他チームの選手とプレーすると、途端にクオリティが下がるようでは、代表の試合に起用することは難しい。視察段階で得た情報と実際に指導して確かめた情報にどれくらいギャップがあるのか。ザッケローニ監督は、その見極めを重視したのだと思います。

 欧州組に目を移すと、MF本田圭佑(ACミラン)、MF香川真司(マンU)に従来の輝きが戻ってきたように感じます。ザックジャパンの牽引役である2人の復調は喜ばしいですね。プレーがうまくいっていない時もありましたが、それを越えつつあることで、メンタル的にも成長していると思います。

 1月にドイツへ渡ったFW大迫勇也(1860ミュンヘン)も進化を遂げているようです。出場13試合すべてに先発し、5ゴール2アシスト。ブンデスリーガ2部とはいえ、対戦相手のパワー、スピードはJリーグでは感じられないレベル。つまり、大迫は世界基準を常に感じることができています。これは代表でのワントップの座を争うFW柿谷曜一朗(C大阪)にはないアドバンテージです。その意味では、大迫の方が優位な立場にいるのではないでしょうか。

 上記のような国内組、海外組の状況を照らし合わせると、今回のW杯メンバーにサプライズはないと思います。闘莉王や大久保嘉人にしても、この時期まで代表に呼ばないということは、ザッケローニ監督の中で、彼らは“何か”が違うのでしょう。その“何か”がプレースタイルなのか、考え方なのかはわかりません。ザッケローニ監督にとって、ブラジルW杯は4年間の集大成です。一か八かの賭けより、今まで自分が起用してきた信頼できる選手を選ぶはずです。とは言っても、発表前のリーグ戦で負傷するなど想定外のケースが起こることもありますが……(笑)。

 いずれにしても、私はザッケローニ監督が選んだ23人を尊重したいと思います。メンバーが発表される5月12日が楽しみですね。

大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール>
元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アント ラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引 退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima- hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年J リーグベストイレブン、元日本代表。