[野球]
佐野慈紀「メジャーリーガーを惑わす田中のピッチング」

スポーツコミュニケーションズ

 復活の狼煙あがった松坂

 一方、待ちに待った復活の時を迎えているのが、松坂大輔(メッツ)です。2009年以降、故障が相次ぎ、11年には右ヒジを手術するなど、松坂は長いトンネルからなかなか脱出することができずに苦しんできたことは、周知の通りです。「もう、松坂は終わった」という声も少なくありませんでしたが、私は「必ず、復活してくれる」とずっと信じて、その日が来るのを待ち望んできました。

 今シーズン、メジャー昇格をかけてオープン戦で投げる松坂のピッチングを見て、「やっと来たな」と感じました。これまでの松坂は踏み出した左足が突っ張り、上半身だけで投げていました。そのため、全体的にボールが高く浮き、それを痛打されていました。しかし、今季の松坂には下半身に柔軟性が感じられ、ボールが低くコントロールされています。

 また、攻め方もシンプルになったという印象を受けます。これまではさまざまな球種を投げてカウントを悪くし、自らの首を絞めていましたが、今はストライク先行のピッチングを徹底しています。これも、好投の要因です。

 本人も「救援に専念するつもりはない」と語っていますが、ゆくゆくは先発ローテーションに入ってほしいですね。しかし、そのためには今の与えられたチャンスで、しっかりと結果を残すこと。先発に戻りたいという気持ちが強いとは思いますが、今は我慢の時です。しかし、それに関しては心配無用でしょう。なにしろ、5年間も我慢し続けてきたのですから。いよいよスタートした松坂の復活ロードに注目です!

佐野 慈紀(さの・しげき) プロフィール>
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。