2014.05.01

感電するアート 『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界』

アクリルケースも大掛かりになって、どんどんエスカレート

シャーレ→20センチのアクリルケース→アクリル箱大→オリジナルアクリルケースと、撮影環境は5度に渡って改良されたという。見よ! このド迫力「ハンバーガー」偽装食品へのアンチテーゼか。豪華絢爛! 「伊勢海老」

最後の難関、感電必至のエンタテイメント!

そして最後に残された難関が、人間の手であった。この撮影の場合、片手をアクリル板に押し付け、ダイヤルを回して電圧を上げていかなければならない。机に電気が漏れて、肘がビリビリしてくるとのことなので、絶対に真似は厳禁!

(左)手は直接触れなくても、放電は相当に痛いそうだ、(右)完全に手を中に浮かせた状態で撮れるほどに!
足の下にゴム板を3枚敷き、完全に絶縁しての撮影。女性の幽霊の手をイメージしたとのこと。

それにしてもつくづく感じるのが、超科学という世界観の持つモチーフとしての強さである。100年近く前の旧ソ連、不思議な写真、オーラというキーワードに基づくバックストーリーは、怪しくも強く惹き付けるものがある。そしてこれを科学的に再現するということは、解明してしまうということとほぼ同義であるわけなのだが、批判のスタンスに寛容さがあり、非常に洗練されていると思う。

「デジタルではなくアナログ、未来ではなく過去に新しい技術が隠れている。キルリアン写真はそんな新しい視点を与えてくれます」とは、写真家の谷口雅彦氏の弁。

つまるところ、科学が超科学にノリツッコミをしたら、アートに転じたという離れ業なのである。美しすぎる科学現象が、感電を感動に変える!まさに電気ショックのような衝撃が走る写真集だ。

【著者プロフィール紹介】
写真 谷口雅彦(たにぐち まさひこ)
写真家丹野章氏に師事。専門学校在学中に1989年度毎日新聞ニュース写真年度賞特選を受賞。写真家細江英公氏主催のワークショップCORPUS第二期終了。1992年、舞踏家大野一雄氏と出会う。以後、舞踏家やストリップダンサーなど身体表現者とのセッションにより作品を制作。展覧会、カメラ誌、写真集などで発表する。近年は小説家やアスリートの人物写真、廃墟探訪などドキュメント写真も手がける。日本写真学会会員。主な著作『谷口雅彦写真集  日々の旅1993-2002』(ワイズ出版/2002年)、『沈黙と饒舌と 原発のある町』(白夜書房/012年)
実験・文 川口友万(かわぐち ともかず)
サイエンスライター。富山大学理学部物理学科卒。"サイエンスにもっと笑いを"をモットーに、テレビ番組などで科学実験を披露することも多い。 著書に『大人の怪しい実験室』(データハウス)、『あぶない科学実験』(彩図社)、『媚薬の検証』(データハ ウス)、『ビタミン C は人類を救う!!』(学研パブリッシング)、『ホントにすごい!日本の科学技術図鑑』(双葉社)など。

『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界
作者:谷口 雅彦、川口 友万
出版社:双葉社

内容紹介
1930年代末、ロシアで発明された後、「生体のオーラを写す驚異の技術」として、スピリチュアルやニューエイジ系の世界で注目された撮影技法、キルリアン写真。
しかし、その一方で、現代科学や写真の世界では「あやしげなモノ」として忘れ去られていた。それを真正面から科学的に検証しつつ、現代に復活させた、世界初、かつ唯一の写真集。

『ノンフィクションはこれを読め! 2013』HONZが選んだ110冊
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社

内容紹介
『「弱くても勝てます」開成高校野球部のセオリー』『ランドセル俳人の五・七・五』等、書評サイトHONZのお薦めレビューを集大成。

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