レビュー:成毛 眞
著者の加藤崇さんにはじめてお目にかかったのは、昨年10月23日スルガ銀行d-laboでのイベントだった。二人ともビジネスモデルコンテストの審査員として参加していたのだが、イベントが終了してから一冊の本を手渡された。大手出版社から再版したいのだという。
手作りにしては装丁やレイアウトなどが良くできているその本のタイトルは『THINK BIG』。Amazonでも買うことができるとのことだったが、書店では販売されていない、いわゆる自費出版だ。正直に言って、初対面の出版の素人から手作りのビジネス書や自己啓発書のたぐいをもらうことがあっても、読むことはない。この時もしばらく放置していた。
イベントから1ヵ月以上たった12月4日、Googleが日本のロボットベンチャーSCHAFTを買収したというニュースが世界を駆けまわった。ニューヨーク・タイムズを皮切りにウォール・ストリート・ジャーナルはもちろん、BBCなども大々的にとりあげるニュースだった。たしか加藤さんはSCHAFTに関係していると言っていたはずだ。目の前に積ん読になっている自費出版本に何か書いてあるかもしれない。慌てて読み始めたことは言うまでもない。そして驚愕して狼狽した。もっと早く読むべきだったのだ。
断言しよう。この本は世界中の起業家がまず読むべき本であり、他のビジネス書などを読む必要がなくなる完全無欠の一冊だ。ここに起業のすべてが書いてある。本質的だが、柔軟で、すぐに実践に移すことができる起業のための考え方と体の動かし方が書いてある。体系的だが、独創に富み、完全に納得できるアイディアに満ちている。いままでこのような本を見たことはない。日本のビジネスシーンを根底から変える力のある本なのだ。
目立つ見出しをいくつかピックアップしてみよう。