株式会社ブイキューブ代表取締役社長・間下直晃
「日本企業ならではの強みを意識しながら、アジアで戦う」

『海外で働こう~世界へ飛び出した日本のビジネスパーソン』より抜粋
西澤 亮一

アジアは、市場としてはまだ規模が小さいですが、急速に成長を遂げようとしており、やがて確実に日本の市場規模を超えるでしょう。だからこそシェア1位を取り、「V-CUBE」をアジアにおけるビジュアルコミュニケーションツールのデファクトスタンダードにしたいのです。そしてアメリカ企業と、彼らが得意とするフィールドで真っ向勝負しなければならないときのために、今は自分たちの力を高めていくだけです。

社長の拠点をシンガポールに移したワケ

ブイキューブの本社は東京にありますが、私は2013年の初めから仕事と生活の拠点をシンガポールに移しています。そしてシンガポールを中心に、日本を含めアジアを飛び回っています。社長自らシンガポールに移ったのは、社員の意識を海外へと向かわせたかったからです。

ビジュアルコミュニケーション事業は、まだ日本国内でも成長産業であり、当社も成長を続けています。現状ではアジア市場よりも国内市場のほうが利益も出ています。すると本社にいる社員はどうしても国内事業を優先します。海外拠点で働いている社員からサービスの改良についての要望が来ても、後回しにしたり、「そんなことはできない」と突っぱねるようなことが起こります。これは当社に限らず、海外に進出している多くのベンチャー企業が陥るジレンマだと思います。

海外に拠点を持つというのは、自分のホームとは違う場所でビジネスをするということです。成功を収めるためには、国内以上に力を注ぐ必要があります。しかしそれがなかなかできない。そこで私は、自分が海外に行くしかないと判断したのです。私が直接海外ビジネスの先頭に立ち、「今、東南アジアの状況はこうなっているから、こういうサービスを新たに追加してくれ」と指示を出せば、さすがに本社の社員も「そんなことはできない」と言うわけにはいきません。

また、社長自ら拠点を海外に移すことは、「自分たちはローカル企業ではなくて、グローバル企業を目指すんだ」という社員へのメッセージにもなります。こんな話をすると「社長が本社を留守にして大丈夫なのか」と思う人がいるかもしれませんが大丈夫です。たとえ日本とシンガポールで距離が離れていたとしても、「V-CUBE」のWeb会議を用いれば、スムーズにコミュニケーションが取れますから(笑)。

また国内での事業については、売上と収益を確保するためのビジネスモデルがほぼ完成し、あとは確実にオペレーションを回していけばいい段階になっています。つまり私がいなくても安心して社員に任せることができるわけです。

一方アジア市場は、まだ何もない更さら地に近い状態です。だから私は自分のいるべき場所をアジアに移したのです。アジアでゼロからビジネスを立ち上げていく仕事が、これから本格的に始まります。

間下 直晃(ました・なおき)
株式会社ブイキューブ代表取締役社長

1977年東京都生まれ。慶應義塾大学在学中の1998年に、Webソリューションサービス事を行う有限会社ブイキューブインターネット(現:株式会社ブイキューブ)を設立し、同代表取締役社長に就任。その後、本業をビジュアルコミュニケーション事業へ転換し、2007年よりWeb会議市場における国内シェアナンバーワンを獲得、2012年まで6年連続で首位を獲得している。米国インテル キャピタルからの出資を機に、2014年1月時点でマレーシア、シンガポール、インドネシアに現地法人を設立。また、2013年1月より、活動拠点をシンガポールに移し、アジアを中心としたグローバル展開を進めている。2013年12月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場。経済同友会会員。
西澤亮一(にしざわ・りょういち)
株式会社ネオキャリア 代表取締役
アブローダーズ事務局 事務局長

2000年4月新卒で投資会社へ入社。同年11月同期9名で株式会社ネオキャリアを設立。取締役就任。2年で赤字4000万円、一時倒産の危機を迎える。2002年、西澤を代表取締役として会社を建て直し、黒字化、急激なV字回復へと導く。現在は、「成長し続ける」という全社で掲げる思想の下、「人材・IT・グローバル」領域にて、世界を代表するサービスカンパニーの実現を目指す。2012年より人材紹介を中心に海外事業をスタート。国内18拠点、海外7拠点(シンガポール、タイ、中国、インドネシア、フィリピン〈セブ、マニラ〉、ベトナム)へ展開し、従業員数700名を超えるグループ企業として成長をし続けている。世界最大級の起業家組織「Entrepreneurs Organization(起業家機構)」に加盟するEO Japanでは、第17期会長を務めた。

海外で働こう~世界へ飛び出した日本のビジネスパーソン 25人のアブローダーズ~挑戦編
著者:西澤亮一
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