[BCリーグ]
信濃・大塚晶文監督「“常に全力”で悲願の初優勝へ」

スポーツコミュニケーションズ

ルークが見せた順応への努力

 一方、ピッチャーはというと、新加入のルーク・グッジン(米国)が先発の柱となってくれています。彼は真っ直ぐも変化球もコントロールが良く、牽制も何種類も持っていて非常にうまい。そのために、ランナーはなかなか走ることができません。

 ルークは今年2月半ばにチームに合流したのですが、初日から一生懸命に日本の野球に順応しようという努力が垣間見られました。信濃ではウォーミングアップから全員が声を出し、動きをそろえるようにしています。米国人にしてみたら、「なぜ、ここまで合わせなくちゃいけないんだ」という気持ちになってもおかしくありません。しかし、ルークは不満を言うことなく、それに従ってくれたのです。

 また、彼は噛みタバコが好きなのですが、「オレたちは子どもたちの見本とならなければいけない。だから、噛みタバコをグラウンドで吐き捨てるのはダメだ」と注意したところ、すぐにやめてくれました。もちろん、チームで一番力のあるピッチャーだということもありますが、そういう姿勢も買って、開幕投手に起用したのです。

 先発2番手の知成(新潟明訓高-武蔵大)は、1試合目の富山戦では6回5安打1失点と好投し、昨年から成長している姿を見せてくれました。しかし、まだまだ完成とは言えません。特に課題としているのが、気持ちの面です。ランナーが出た時など、もっとギアを上げたピッチングをしてほしいのです。というのも、シーズンが進むにつれて、他球団のピッチャーも調子を上げてくることが予想されます。そうなると、接戦が増えてくるはずです。先発が1、2点に抑えていかなければ、勝つことが難しくなります。ピンチになった時こそ、「絶対に抑えてやるんだ」という強い気持ちが必要なのです。知成には、自分がエースとしてチームを引っ張るというくらいの気持ちを出してほしいと思います。

 もうひとりの先発が、杉山慎(市立船橋高-日本大学国際関係学部-全足利クラブ)です。彼は率先して練習をする選手で、行動でチームを引っ張ってくれています。昨年はチーム最多の9勝を挙げましたが、私はもっとできるピッチャーだと思っています。そのためには、低めへの制球力が課題です。杉山は、真っ直ぐのコントロールがいい時はいいのですが、ランナーを背負うと力が入ったり、勢いのまま力まかせで投げ、単調になって球が上ずることが少なくありません。オープン戦での新潟戦では、低めを意識したピッチングができましたが、それを常に根気よくできるかが重要です。もともと安定感はありますので、昨年までとは違った姿を見せてくれることを期待しています。

 今年、チームで取り組んでいるのは、どんな展開においても「全力疾走」「全力発声」「カバーリング」「素直な心」を実行し続けることです。たとえ大量点を奪っても、油断しそうになる気持ちを抑え、「まだまだだ」と気持ちを引き締めることができるか。また、劣勢な場面でも「これから大逆転のドラマをつくってやるぞ」と、相手がうるさがって、やりづらさを感じるくらい声を出し、諦めないという雰囲気をつくりだせるか。こうしたことをやり続けることが、悲願の初優勝につながると思っています。そんな信濃の野球を、ぜひ球場に見に来てください。

大塚晶文(おおつか・あきのり)>:信濃グランセローズ監督
1972年1月13日、千葉県生まれ。横芝敬愛高、東海大、日本通運を経て、97年、近鉄にドラフト2位で入団。セットアッパー、クローザーとして活躍 し、2001年には12年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。02年オフ、中日に移籍。翌オフにポスティングシステムで念願のメジャー入りを果たす。 04、05年はパドレス、06、07年はレンジャーズで活躍した。06年第1回ワールド・ベースボール・クラシックではクローザーとして5試合に登板。決 勝では8回途中から登板し、胴上げ投手となった。昨年、信濃グランセローズに入団。今季は監督を務める。
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