2014.04.22
ヴァージングループ会長:リチャード・ブランソンに質問
「自宅で起業するか、家を出てはじめるべきか?」
『現代ビジネスブレイブ リーダーシップマガジン』---リチャード・ブランソン「世界を変える経営」より
起業した私を見守り続けた母

【質問】 高校卒業まであと4ヵ月を切りました。卒業前に、アイデアの1つをビジネスモデルとして固めるつもりです。
はじめはテキサスのオースティンに引っ越す予定でしたが、成功した起業家たちと話すうちに、実家から地元の大学に入り、お金を貯めたほうがよさそうだと考えはじめています。
家にいたまま起業するか、それとも家を出て違った世界を経験した方がいいか。どちらがいいでしょうか?
(コナー・ケリー)
――ブランソン: 家を出ることは、若者の人生ではもっともおもしろいが試練ともなる大きな出来事です。愛する人々と離れるのはつらいものです。しかしある時点で人は旅立ち、独り立ちしなければなりません。アイデアをいくつも抱えたあなたのような起業家が、独立にふさわしい時機を選ぶには、プラスとマイナスの両面から考えることです。
私は、若いころから全寮制の学校にいましたが、両親や姉妹との関係はいつも親密でした。はじめて起業しようと16才で学校を辞めた時に、友人のジョニー・ジェムが住んでいる、ロンドンのエッジウェア・ロードの雑踏の下にある地下室へ引っ越しました。部屋は暗くてやや湿っぽく、とても汚かったのですが、いつも大騒ぎしていました。独立というはじめての体験を楽しみながら、自分たちの雑誌『スチューデント』を作るという毎日は、ものすごくスリリングでした。
そうは言っても、母は私たちを見守ってくれていました。時々、食べ物を詰めたカゴを持っていつも空腹だった私たちを訪ね、少なくとも週に一回はシャワーを浴びているかと聞いてきました。若くして独立した経験は、私にとってかなり勉強になりましたが、両親がどれだけ自分を支えてくれたか、そして、それがどれだけ重要だったかを忘れたことはありません。