柴田知栄 第3回 「私が保険営業で15年間トップでいられたのは「意志の力」なんです」

島地 勝彦 プロフィール

セオ ホールインワンを出しただけで無試験で第一生命に入社できたんですか?

柴田 ウワ、ハハハア。うちの会社はそんなに甘くはありません。同期7名と一緒に保険の販売資格試験を受けました。100点満点のうち97点でしたから妹は「よかった。合格だ」と胸を撫で下ろしていると、他の6名の受験者の成績が発表されたんです。すると100点満点が2人、99点が2人、98点が2人で、なんと可哀相に妹が最低点だったんです。

母はそのことを聞いて、「嘘でしょう? そんなに難しい試験じゃないのに、ビリ?」と絶句していました。ウワ、ハハハア。

そんなわけで妹はほのぼのOLから180度逆の厳しい保険セールスの仕事に足を踏み入れてしまったのです。

シマジ たしかに保険セールスはほのぼのOLの仕事とはわけがちがうでしょうね。すべて数字がものをいう世界でしょうから。

柴田 妹が担当企業に通いはじめて1ヵ月くらい経ったある日、いつものように会社訪問して「こんにちは!」と出来るだけ元気よく挨拶すると、「またきたよ」「毎日、毎日、しつこくくるね」とわざと妹に聞こえるような大きな声でいわれたそうです。

例の三種の神器の大判名刺を渡しても目の前で破かれたり、「こんなものいらねえよ」とゴミ箱に捨てられたりしたことが何度もあったそうです。本当に辛かったようですが、毎日通うことをこころに決めていたので一生懸命通い続けたのです。

数日後、女性社員が集まってお昼を食べている会議室があったので、営業ツールを渡しに出かけていったら愛想よく対応してくれたのに、翌日行くとカギがかけられて締め出されてしまったそうです。

でも3ヵ月が経ったころ、「君は毎日毎日飽きずにくるね」と笑って声をかけてくれた人がその会社の社長だったそうです。

立木 社長に気に入ってもらえばもうこっちのもんだ。

セオ やっぱり編集者よりもずっと厳しい世界なんですね。

シマジ そうだと思うよ。それでいて笑い飛ばしているんだから柴田さんは大したものだ。セオには絶対に無理だな。

柴田 ウワ、ハハハア。

〈次回につづく〉

 

柴田知栄(しばた・ちえ) 第一生命保険株式会社 営業調査役。1967年生まれ。中央大学法学部卒業。第一生命入社後、国際企画部(ニューヨーク勤務)を経て、96年から営業職員に。1999年度から15年連続で第一生命の契約高1位を記録している。MDRT(世界百万ドル円卓会議)会員、トップ・オブ・ザ・テーブル会員。著書に『スーパーセールス姉妹 知栄と佳栄―「母」から受け継いだ豊かなこころ』(日本経済新聞出版社)がある。
島地勝彦(しまじ・かつひこ) 1941年、東京都生まれる。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任。現在は、コラムニストとして活躍中。主な著書に『乗り移り人生相談』『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』(ともに講談社刊)など。Webで『乗り移り人生相談』『Treatment & Grooming At Shimaji Salon』を連載中。最新刊『男と女は誤解して愛し合い 理解して別れる---乗り移り人生相談傑作選(1)』(日経BP社)が好評発売中!

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