2014.04.14

岩瀬大輔「僕なりに考える『友達をつくるシンプルな原則』」

最新刊『仕事でいちばん大切な 人を好きになる力』より

そしてもうひとつ、大事なポイントがあります。それは「人を好きになるのは、むずかしくない」ということ。この第1章では、その理由や人を好きになるときの心構えについてお話ししていきたいと思います。

なにが人を「好き」にさせるのか?

「人を好きになるのは、むずかしくない」

この言葉に対して、若干の反発を感じる人もいるかと思います。たとえばこれが「大学受験なんて、むずかしくない」とか「英会話なんて、むずかしくない」という話であれば、まだ納得できるでしょう。なぜならそれはテクニックの話であり、論理的なやり方で学習していけるものだからです。

一方、「好き」という気持ちは違います。

いくら自分に「あの人のことを好きになろう」と言い聞かせても、なかなかそうはいきません。「好き」とは感情であり、感情を自由自在にコントロールするなんて、そうやすやすとできるものではない。当然です。僕だって、知り合ったすべての人を好きになれるわけではないし、どうしても苦手だという人もいます。出会う人全員を好きになるのは無理でしょう。

それでも、人が人を好きになる背景には、なんらかの理由があるはずです。その理由をきちんと言語化し、自分がどんなときに、どんな人のことを「好き」になるのか理解しておくことは、決して無駄な作業ではないでしょう。

僕の場合、これまで自分が好きになってきた友達や恩師などを思い返してみると、2つのキーワードが浮かび上がってきます。

ひとつは「感謝」の気持ち、もうひとつは「尊敬」の念です。

たとえば、誰かに優しくしてもらったとき、お世話になったとき、ただ「嬉しい」と喜ぶだけでは、話は自分の心の中で完結して終わります。しかし、その喜びを「ありがたい」という感謝の気持ちにまで高めていくことができれば、やがて「好き」につながっていくでしょう。気持ちの矢印が相手に向かっているわけです。

あるいは、自分と意見や価値観の違う人がいても、「それでもあの人の仕事に向かう姿勢は見習いたい」というように、どこか尊敬できる面を見つけられれば「好き」につながるかもしれません。少なくとも僕の場合、尊敬の気持ちをきっかけに好きになった人も大勢います。

なにかをしてもらったときに感謝の気持ちを忘れないようにすること。そして積極的に尊敬できるところを見つけようとすること。これは自分の心がけひとつでできることですし、感謝や尊敬から「好き」を育てていくことは決してむずかしいものではないと、僕は考えています。

そしてなにより、感謝と尊敬には「下心」がありません。

人は、下心を持ってすり寄ってくる相手に対しては警戒心を持つものですが、純粋な感謝や尊敬の念を持って近寄ってきた相手のことは、よほどのことがない限り受け入れてくれるものです。

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