これからの数年、あるいは数十年にわたり格差が拡大し続けるとしたら、(世界は)どうなるだろうか。たとえば、上位1%の富裕層の所得が、現在の国家の収入の5分の1から4分の1になったとしたら、あるいは半分になったとしたらどうなるか?
パリ・スクール・オブ・エコノミクスのトマ・ピケティ(Thomas Piketty)教授の説を信じるなら、これは将来的にあり得るという程度のことでなく、その可能性はかなり高いようだ。
先ごろ米国の書店に並んだばかりのピケティ教授のエッジの効いた近著、『21世紀の資本論(Capital in the Twenty-First century:未邦訳)』の中で、彼は世界経済史を斬新かつ広範な視点から分析し、市場経済の仕組みに関する多くの中核的な教義に疑問を投げかけている。
もっとも驚くべき新説は、格差の拡大傾向は最終的に安定化し、自然にやわらぐといった、長年にわたって支持されてきた自由市場資本主義の教義は間違いだという見解だ。やわらぐどころか、さらに多くの富や経済的諸力が一握りの運のいい者に経済的諸力が集中し、かなりの長期間にわたって維持されるのがほぼ確実だと言う。