二宮寿朗「色のない無観客試合が教えてくれたこと」

二宮 寿朗 プロフィール

“色”はサッカーそのもの

 試合後、清水のアフシン・ゴトビ監督は会見の冒頭、このようにコメントを残している。

「我々には(サッカーという)美しいゲームがあります。しかしスタジアムに誰もいないと魂が欠けているようでもあります。
 人種差別はなくしていかなければならないと思っています。人と人には違いがあり、だからこそ世界は美しい場所なのではないでしょうか。私がサッカーを始めたころ、サッカーボールの色は白と黒でした。今我々が使っているボールにはいろいろな色が使われています。(中略)

 日本に来て3年と2カ月になります。東日本大震災も経験しました。ただ日本は世界と強く団結していました。それが真の日本だと思います。優しさ、礼儀正しさ、それが日本の顔だと思っています。もしこの国に(人種差別に対して)無知な人がいたなら彼らを愛し、彼らに教えていきましょう。この先の将来、複数の色が重なっていく時代だと思っています。

 私は試合を楽しめませんでした。ファンがいなかったから楽しめませんでした。声がなかったからです。美しいオレンジ、美しい赤の戦いがなかった。試合内容はいい時間帯と悪い時間帯があった。(悪い時間帯の要因というのは)ファンから得られるパワーやエネルギーが足りなかったからだと思っています。無観客試合は最後であると願っています」

 ゴドビは何度も「色」について語っている。
 色とは、サッカーの力そのものなのだと筆者には聞こえた。

 たとえば清水の選手、スタッフは9カ国から集まっている。いろんな国の人たちが集まって、チームが出来上がっている。そして多彩な国際色が結集して、チームのクラブカラーである「オレンジ」のもとで戦っている。そしてファンも「我々の選手、スタッフたち」に誇りを抱き、ひとつになる――。