「運も実力のうち」とよく言われるが、安倍晋三首相は、本当に強運の持ち主である――。
3月24~25日、オランダのハーグで核安全保障サミットが開催された。期間中の24日午後(日本時間25日未明)、ウクライナ危機への対応を話し合うため主要7ヵ国(G7)緊急首脳会議でのことだ。
米国のオバマ大統領、英国のキャメロン首相、フランスのオランド大統領、ドイツのメルケル首相、カナダのハーパー首相、イタリアのレンツィ首相、欧州委員会のバローゾ委員長、欧州理事会のファン=ロンパイ議長、そして安倍首相の9人だ。
各国首脳は丸テーブルを囲み、各人のバックシートには各国2人が控えた。
因みにオバマ大統領のバックシートに座ったのは、ケリー国務長官とヘーゲル国防長官で異彩を放った。というのも、他国はシェルパと呼ばれる各首脳の個人代表とPDと称される政治担当外務次官が通常のラインナップであるからだ。
安倍首相の後ろに控えたのは、シェルパの長嶺安政外務審議官(経済担当・1977年入省)とPDの杉山晋輔外務審議官(政治担当・同)であった。
先ず、オバマ大統領が口火を切り、ロシアによるクリミア半島編入を強く批判、今年の6月にロシアのソチで開催予定のG8首脳会議ボイコットを呼びかけた。そしてテーブルに座る各首脳に対し時計と逆回りで順番に発言するよう求めたのだ。
右隣に座ったキャメロン首相からオランド大統領→ハーパー首相→バローゾ委員長→ファン=ロンパイ議長→レンツィ首相→安倍首相→メルケル首相ということだ。
安倍首相が発言するまでの各首脳は異口同音にクリミア編入がいかにEU(欧州連合)加盟各国のみならず欧州全域に脅威を与えることになるかを熱く説いた。特にキャメロン、ハーパー両首相のロシア=プーチン大統領批判は激烈なものだったという。
「という」というのは、同緊急首脳会談は完全非公開であり、各国代表団に対して発言内容漏れに関する厳しい縛りがかけられたからだ。つまり、各首脳の発言順番もトップシークレットなのだ。