館淳一 第4回 「実はオンナと同棲しています」と土下座して始まったシマジの集英社生活

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 集英社に入社したころ、アメリカの『PLAYBOY』にロアルド・ダールの「The Visitor」という最新小説が載っていると教えてくれたのは館なんだ。館の英語読解力はおれをはるかに超えていたからね。

おれはそのうち早川書房から翻訳が出るだろうと思ってすぐには読まなかったんだが、館に薦められて英語で読んでみて感動したんだ。のちに『来訪者』というタイトルで翻訳されたんだが、この中編小説のストーリーはいまでもはっきり覚えているくらいだよ。

 あれはもう絶版だろうね。

シマジ セオ、アマゾンのマーケットプレイスで古本を探してでも読んだほうが人生が豊かになるぞ。ダールの傑作中の傑作だからね。

セオ お二人がそういうからにはまちがいなく傑作なんでしょう。それはミステリーですか?

シマジ ミステリーというよりもブラックユーモアの味がするね。

立木 なんかおれも読みたくなってきたな。セオ、アマゾンで探して2冊買っておいてくれ。

セオ 了解です。どういうストーリーなんですか? サワリだけでも聞かせてください。

シマジ 館、お前から教えてあげてよ。

 サワリを聞くよりもまずは黙って読んでみてください。ダールは短編小説の名手です。あの傑作は読者を裏切ることは絶対にありません。砂漠、ロールスロイス、大富豪、美人のフルボディの母親と娘、などが出てきます。

シマジ あのころ原稿料が世界一高いといわれていた作家なんだよ。開高健先生もダールが大好きで、たしか『キス・キス』という短編集を翻訳していたはずだよ。

 『あなたに似た人』のなかに収められている「南から来た男」も傑作です。ダールの作品を一言でいえば、痛快、残酷、お洒落ですね。