館淳一 第4回 「実はオンナと同棲しています」と土下座して始まったシマジの集英社生活

島地 勝彦 プロフィール

セオ ん? ということは、シマジさんはまだ仮採用のときに結婚式を挙げたんですか?

 そうですよ。しかもそのあと悠々と新婚旅行にも出かけて行ったんですよ。

立木 そんなやつがよく編集長になり、役員にまでなれたもんだ。

 みなさん、聞いてくださいよ。シマジは親から団地の一軒家を買ってもらって新婚生活をはじめたんです。池袋から遠い東武東上線の霞ヶ関というところでした。当時はまだ仮配属で日曜日は暇でしたからよくシマジの新居に遊びに行きました。そのころは自動券売機なんてない時代なので、「東上線の霞ヶ関」といちいち切符売り場で駅員にいわないといけないんです。

ところが吃音のわたしにとっては東上線の「ト」も霞ヶ関の「カ」もどっちも発音しづらい。いつも立ち往生して後ろをみると長蛇の列が出来ている。だから遊びに行くたびに「シマジ、お願いだ。ここを早く引っ越してくれ。わかるだろう?」と訴えていました。

シマジ さすがに週刊プレイボーイ創刊準備室に配属になると、通勤が遠くて辛かったので、御殿山のアパートに引っ越したんだ。

 たしかあのころ、広谷も霞ヶ関に住んでいたよね。

セオ 広谷さんも凄いですね。どこへ行ってもシマジさんのそばにいたいんですね。

シマジ ちがう、ちがう。たまたま広谷の実家が霞ヶ関だったんだよ。広谷も新人として「週刊明星」に配属なった瞬間、本郷に引っ越したよ。

 でもシマジと広谷は仮配属のころは、毎朝一緒に出勤してきて夜も一緒に帰っていたんですよ。少なくとも3ヵ月の仮社員の間はね。

セオ しかし、どうして御殿山を選んだんですか?

シマジ それは柴田錬三郎先生の豪邸が高輪にあったからだよ。担当作家の家が近いほうが何かと便利だと思ってね。

立木 シマジは編集者というよりもシバレンさんのお庭番みたいだな。