財務大臣の「株売り」を考える

〔PHOTO〕gettyimages

財務大臣(財務省)が株を売る―マーケットでそんな光景を見ることがたまにある。相続税を支払えなかった人が物納した場合、財務大臣が現金化するためにその株を市場で売ることになるからだ。

素朴な疑問なのだが、こうした物納された株などを売るタイミングというのはどうやって決めているのだろうか。「財務大臣が売る=そこが高値」という連想をマーケットにもたらし、市場に影響を与えたりしないだろうか。そもそも財務大臣がいいタイミングで売ることなどできるのか・・・・・・。

'06年の相続税法改正によって、物納手続きが厳格化された。

以前は物納申請から物納完了まで時間がかかっていたため株式の物納では売るタイミングが問題になることもあったようだが、この改正によって物納処理はスピーディになっている。

税金は金銭で納付することが原則。ただし、相続税については、延納によっても金銭で納付することが困難である場合には一定の相続財産による物納が認められている。

これを受けて、財務省では「物納等有価証券に関する事務取扱要領について」という通達が出されている。

それによれば、物納された上場株式について、処分方針として「関東財務局において委託証券会社と委託契約を締結し、金融商品市場を通じて速やかに処分する」とされている。

同様に処分基準については、「前日の金融商品市場の終値(前日の当該株式の取引がなかった場合は直近日の終値)の90%に相当する額以上の価格を予定価格とし、当該予定価格以上の価格で処分する」という。

言い換えれば、物納された株はすぐに売る、その前日の株価を10%下回らなければいいということになる。株価が1日で1割も値下がりするようなことはめったにないため、「即時売り」が基本になる。

となれば、売るタイミングも何もない。

考えてみれば当たり前の話で、本来であれば、相続税を納めるべき人が株を売却して金銭で納税するのが筋であるのに、その代わりに物納しているわけだから、税務署としてはすぐに現金がほしい。

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