[MLB]
杉浦大介「“ミラクル・メッツ”、復活の条件」

~松坂大輔も属するチーム再建の行方~
スポーツコミュニケーションズ

シーズン中の大胆補強も可能

 ただ……その一方で、ニューヨークという大都市に本拠地を置きながら、過去25年で3度しかプレーオフ進出できていないチームのファンは、延々と続く“再建期間”にそろそろ飽き飽きしているのが現状でもある。そして、ヨハン・サンタナ(オリオールズとマイナー契約)、ジェイソン・ベイらとの高額契約が終焉直後となる今季は、数年前から“勝負の年”として目標に定められてきたシーズンだった。

 だとすれば、依然として戦力的には物足りなくとも、“90勝”の大風呂敷を広げ、それを目指していくのも悪くない。長い目でのチームづくりは大事だが、ときに勝負をかける気概も必要。現時点での年俸総額はメジャーでも下から数えた方が早い約8700万ドルというチームのGMが、就任4年目にして、ついに勝利を目指す意思を示したことはファンには心強いはずである。

一昨季32本塁打したデイビスだが、昨季は9本塁打と激減。復活が待たれる。Photo By Gemini Keez

 現実的にメッツが90近い勝ち星を挙げるためには、かなり多くのことが良い方向に進む必要がある。ウィーラーが去年のハービー同様に一気に大黒柱級まで成長し、シンダーガード、コローンという新旧エース候補が期待通りに力を発揮し、松坂も前半戦では先発4、5番手として堅実に働き、ボビー・パーネルが抑えの切り札として確立し、ダーノーが正捕手として定着し、昨季はどん底の不振だったアイク・デイビス、ルーベン・テハダが復活し、グランダーソン、クリス・ヤングといった新戦力が長打力を誇示し……。

 そして、これらのベストシナリオが現実にならなかった場合には、足りない部分を効果的に埋めるべく、アルダーソンGMの出番である。近年の再建政策の過程で、メッツは多くのプロスペクトをチーム内に抱えるに至った。メジャー有数の素材と言われるシンダーガード以外にも、トレード価値のある選手は少なくない。

 今季、本気で勝ちにいくのなら、ヘンリー・メヒーヤ、ラファエル・モンテロ、ジェイコブ・デグロムといった評判の良い投手たちをシーズン中に放出してでも、少々大胆な戦力補強に挑むのも良いだろう。