大特集みんな悩んでいる「老いた親」の捨て方【第1部】決断ひとつで、天と地ほどの差がついてしまう!親を捨てるか妻から捨てられる

週刊現代 プロフィール

「娘たちの反応は真逆でした。『母さんをずっと放っておいた父さんの自業自得だ』『病気とはいえ、母さんをいじめ続けたお婆ちゃんの味方はできない』と言われたのです。当時は、息子夫婦が親の面倒を見るのは当然と思っていたし、プライドもあったので、『それなら離婚だ』と、思わず言い放ってしまったのです」

親の死後は孤独死しかない

離婚後、高田さんは一人で介護に取り組んだ。だが、あまりの大変さに2年で挫折。認知症専門の施設に入れた。その母も、5年後に息を引き取った。

「家族会議で、娘が言ったんです。『母さんと別れるなら、父さんの未来には孤独死しかないよ』。この言葉が頭から離れません。なぜもっときちんと妻と向き合わなかったのか。己の愚かさを呪うばかりです」

日本人の平均寿命は、82・59歳。超高齢社会に突入した今、高田さんのように定年を迎えた子供が、老親の世話や介護をするケースが増えている。

「自分を生み育ててくれた親の老後の面倒を、子供が見るのは当たり前」—。これは、昔から日本人の心に深く根差してきた美徳とも言える心情だ。だが、この「美徳」を守り、自らの老後を親のために捧げた結果、身を滅ぼしてしまう人々が後を絶たない。

伝統的な常識が通用したのは、平均寿命が50~60歳と短かった時代の話だと、老後の「片付け問題」に詳しいやましたひでこ氏は言う。平均寿命が80歳を超え、世界一の長寿大国となった今、事情は全く変わってきているというのだ。

「今は親が自分より長生きするかもしれないという、かつて経験したことのない時代。そして団塊の世代は、定年後に10年以上も親の面倒を見なければならない、最初の世代となるでしょう。だからこそ何を選び、何を捨てていくかを真剣に考えなければならない。我々は今、まったく新しい問題に直面しているのです」

一方、あらかじめ思い切って親を「捨てる」ことで夫婦関係の崩壊を免れ、さらに親も幸せになったケースがある。木下達男さん・恵美子さん(63歳・61歳/仮名)夫妻だ。

「84歳の父と、83歳の母と1年ほど同居していました。しかし、自分たちももう60過ぎ。このままでは老老介護になるのではと妻が心配し始め、私も危機感を感じるようになっていました」(達男さん)

そこで木下さんは一計を案じる。築40年になっていた家をリフォームするので、完了するまでの半年間、両親に仮住まいに引っ越してくれと頼んだのだ。

「その仮住まいというのが、私の友人が勤めている会社が持っている、湯河原の保養所。ちょうど住み込みの管理人を募集しており、仕事内容も戸締まりだけ。両親に打診すると、温泉に入り放題ならと、喜んで引き受けてくれました」

間もなく自宅の工事が終わるという頃、両親から連絡が入った。