館淳一 第2回 「微分積分の壁を乗り越えられていたら、シマジとは出会わずに真っ当な人生を歩んでいたかもしれない」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 広谷は微分積分がわかるかな?

 あいつはわかるだろう。緻密な脳みそを持っているからな。

セオ 広谷さんはわかりそうなお顔をしていますよ。

立木 顔は問題じゃないだろう。

セオ 何よりも尊い3人の友情物語をもっと聞かせてください。

シマジ おれたちの友情物語なら一冊の本が書けるくらいあるよ。集英社が日本版『PLAYBOY』を創刊することになった。そこへ「週刊明星」から広谷が移動した。ある夜、館を軽井沢から呼んで3人で作戦会議をやったんだ。

その結果、堅い特集はお手のものだろうけど、プレイボーイ風の上品でエロティックな記事は広谷には無理だろうという結論に達した。そこで館に軽井沢の山から下りてきてもらい、フリーランスとして専属の助っ人になってもらうことを3人で談合したというわけだ。

セオ 美しい友情ですね。

シマジ 館の編集者としての実力は知れ渡っていたから、すぐ編集部に机をもらって平手造酒の役をやってもらえたんだろう。

セオ 『PLAYBOY』は創刊と同時に完売して、増し刷りをした幻の雑誌ですよね。

 そうでしたね。シマジだって広谷のために柴田錬三郎先生を紹介して、四国の大将、坪内寿夫さんがシバレンさんだけのために造ったゴルフ場をスクープさせたんですよ。「たった一人のゴルフ場」というタイトルで創刊号の誌面を飾っています。

シマジ そんなこともあったね。はじめて広谷をシバレンさんの家に連れていったとき、クルマのなかで「広谷、お前、シバレンさんの小説のなかで何がいちばん好きなんだ?」と訊いたら、「じつはな、シマジ、おれは柴田先生の小説は一冊も読んだことがないんだ」というじゃないか。

「わかった。今夜は小説の話は避けて通ろう。すべてはおれに任せておけ」ということで会ったんだが、シバレン先生は広谷の面構えから人間性を見透かしたのか、「たった一人のゴルフ場」の取材の件も、その書き下ろしの件も快諾してくれた。

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