館淳一 第2回 「微分積分の壁を乗り越えられていたら、シマジとは出会わずに真っ当な人生を歩んでいたかもしれない」

島地 勝彦 プロフィール

セオ 同期入社でそこまでいえる関係を作ったのは凄いですね。普通、同期が偉くなったりすると相手に嫉妬することもあるでしょう。

 またまたシマジ格言でいえば、「嫉妬するよりされる人間になれ」ということでしょうね。わたしは出世競争に揉まれることなく4年で集英社を辞め、その後は軽井沢で別荘の管理人の職を得たわけですが。

立木 どうしてまた?

 週刊誌の仕事は忙し過ぎてわたしの性格には合わないと思って辞めたんです。別荘の管理人でもしてのんびりやりながら、数学の勉強でもやろうかと思っていたんです。でも、別荘の管理人というのもじつは結構忙しかった。で、ちょうどそのころ、例の浅間山荘事件が勃発したんです。

シマジ ドキュメント好きの広谷がワクワクしながら館のところにやってきたんだろうな。

 お陰さまでそのときは久しぶりに広谷と旧交を温められたかな。

セオ 館さんは根っからの文化系と思っていましたが、数学もお好きなんですか。

 いやいや、わたしの数学人生は微分積分の壁にぶつかって終わりました。

シマジ そうだ。館にはお兄さんが2人いて、一人は某有名電機メーカーのエンジニアで、もう一人は某大学の薬学部の教授だったよね。

 わたしが微分積分の壁を乗り越えられていたら、シマジとは出会わずに今ごろは真っ当な人生を歩んでいたかもしれません。

セオ ぼくも微分積分の壁にぶつかりました。それで医者にはなれずこうして編集者になったために、シマジさんと遭遇したんだと思います。

シマジ そうだよな。セオの実家は代々続く病院で、4人の男兄弟のうちセオを除く3人はみんな医者をしているんだよね。

セオ そうなんです。ぼくは末っ子ですが、微分積分がわからなくて医者になれませんでした。

シマジ 微分積分が理解出来るか出来ないかでそんなに人生が狂ってしまうとは、おれはいまのいままで知らなかったよ。タッチャンは知っていた?

立木 知りませんね。微分積分なんてみたことも食べたこともない。でもこうして76歳までちゃんと生きてきたけどね。

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