声に出して言いにくい「日本の大問題」第4回 隣のストーカー「被害者にも問題がある」という大衆の心理について考える

越智啓太×栗原加代美
週刊現代 プロフィール

越智 三鷹の事件でも、警察が被害を受けた女性からの相談を受けた直後に、事件が起きてしまった。現場の警察官の対応だけでは限界があることを示した事件でした。

栗原 ストーカー行為をしている当人は、自分をストーカーだと思っていませんし、なかなか認めません。被害にあった人が、相手の行為に恐怖を感じたら、そのときにストーカーだとはっきりするんです。

逗子の事件では、被害者の兄が「加害者の処罰ではなく、治療を」と訴えていますが、私は被害者が警察に相談した時点で、警察が加害者を強制的に更生プログラムに入れるような制度が必要だと思います。

越智 ただ、私の意見は少し違います。もう少し、冷静に捉えるべきではないでしょうか。相談相手が見つかったり、大学や民間の相談室でのケアで解決するケースから、凶悪事件につながるものまで、ストーカーにもグラデーションがあります。それぞれに対応の仕方があるのではと思います。

海外では以前からストーカー行為が殺人や傷害事件に結びつくかどうかを判定するチェックシートが作られています。ストーカーのデータを大量に集めて類型化し、放っておいたら傷害事件や殺人事件に至るケースとそうでないケースを識別しているんです。

栗原 昨年12月から、日本でも導入されたとニュースになりましたね。

越智 私も、今まさにその研究を行っています。意外だったのは「加害者が暇かどうか」ということが、事態が悪化するかどうかを左右する、すごく重要なファクターだったことです。

加害者が忙しいと、つきまとうには労力が必要ですし、時間も制限されます。ところが、仕事や学校に行かず、一日中家にいたりすると、頭の中でどんどん妄想と怒りを膨らませてしまう。通常、時間が経てば怒りは消えますが、ずっとそればかり考えていると、最後は「あいつを殺すことが自分の人生の目的だ」と思い込んでしまう。

80歳を過ぎてストーカーに

栗原 相談をする友人がいないことも問題なのではないでしょうか。客観的に「それはおかしい」と言ってもらえると、違う選択肢も生まれるのですが、一人だけでずっと考えていると、修正する機会が生まれません。

越智 そういう意味で対策が必要なのが、高齢者のストーカーです。家族がいれば抑止力が働きますが、今は独り暮らしの高齢者が増えています。暇で、自尊心が高い、そして相談相手がいないというストーカーになりやすい条件に、高齢者は当てはまります。

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