声に出して言いにくい「日本の大問題」第4回 隣のストーカー「被害者にも問題がある」という大衆の心理について考える

越智啓太×栗原加代美
週刊現代 プロフィール

越智 そしてもう一つは、三鷹の事件もそうだと思いますが、自尊心を傷つけられたことに恨みを抱き、その果てに、相手を殺してしまうタイプです。自分はこんなに愛してやっているのに、それを拒絶するのは許せない—という論理で、後悔や反省も薄い。

出会ったことが不運だった

栗原 と、その多くは、自らも虐待を受けていたり、両親がDVの関係にあった人たちなんです。良きモデルを間近に見ることなく育ったため、「パートナーは自分の所有物だ」といった歪んだ価値観を持ってしまう。ストーカーに至る大きな要因には、その歪んだ価値観があると思います。

越智 もう一つの特徴は、同性の友達が少ないことです。同性の友達がいる場合でも、同級生や年上の人は苦手な人が多い。おそらく年下が相手ならば見栄を張ることができ、自尊心も保たれるからでしょう。

栗原 相談に来る人を見ると、ストーカーをする男性には「イケメン」が多いんです。話しぶりも一見自信に溢れている。被害者にも美人が多くて、美男美女のいいカップルに見える。だから、最初は交際も順調なのですが、そのうち支配や暴力が始まり、被害者が離れていくと、今度はストーカーになってしまう。

ストーカーになってしまった男性に、「どうしてその彼女を選んだの?」と尋ねると、「この人は僕に逆らわないと思った」と答えるんです。自分に従ってくれそうな人を選んでいるのだそうです。

越智 ニュースになるような事件の被害者には、「どうしてこんな支配関係や、暴力があったのに別れなかったのだろう」という時期が必ずありますね。事情を深く知らない人たちは「被害者にも問題があったのではないか」「事態が深刻化する前に何かできたのではないか」と考えてしまう。

栗原 被害者が従順であるというだけでなく、暴力によって、拒絶できないように関係が作り上げられていくのです。自分の欲求を満たすために暴力を選んでいるという点で、すべての責任は加害者にあります。

越智 そういう男性といったん付き合ってしまったら、別れるのは難しい。「別れ方が悪かった」と言い立てる人もいますが、別れ方がどうであれ、つきまとう人間はつきまとうんです。

出会ってしまったことが不運なんです。相手に欠陥があったとしても、目に見えて明らかなわけではないのだから、交際前に注意しろといっても難しい。そういう意味では、ストーカー被害に遭うのは、「地雷」を踏むようなもの。被害者に落ち度はありません。

栗原 もし、運悪くそういう男性と出会ってしまい、危険を感じるような状況に陥った場合、現状では警察に相談するのが第一の方法です。しかし館林の事件でも、容疑者は警察から警告を受けていますが、それから犯行に及んでいます。

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