スクープレポート あなたは何も知らずに食べますか 微生物で作られる「かつおだし」 黒い着色料で色づけする「醤油」 半分は水でできている「ハム」

週刊現代 プロフィール

昨年8月、ロンドンで開かれたハンバーガーの試食会には、200人以上もの報道陣が押しかけていた。

注目された理由は、パテに使われた牛肉が世界初の「人工肉」だったから。

披露された焼かれる前のその肉は、見た目にはスーパーで売られているひき肉と違いはない。より本物に近づけるため、赤いビーツ(砂糖大根の一種)の汁とサフランで色づけされているという。

「ジューシーさが足りないけれど、本物の肉に近いね」

焼いたその肉を挟んだハンバーガーを一口食べた人は、こう感想を述べた。いまや人類の技術を駆使すれば、農場ではなく実験室で食肉を製作することも可能になっている。

日常的に食卓に並んでいる

試験管の中で培養されたというこの肉、一体どうやって作るのか。開発者のオランダ・マーストリヒト大学教授のマーク・ポスト氏に聞いた。

「牛の筋肉から幹細胞を採取し、培養ケースに入れると、48時間以内に増殖が始まります。そのうち、筋肉と筋肉を結びつける腱も作られ、筋肉が収縮するようにもなる。数週間すると、ハンバーグを1つ作れるほどの肉に成長するんです。もっと味をよくするためには、脂肪細胞も同様に培養して筋肉と混ぜればいい。

40年後には、世界の人口は90億人を超えます。肉の需要は増加し、大量の食肉不足が発生します。この技術は、それを解決する手段になり得るのです」

この1枚のパテの肉を作るのにかかる費用は、現段階でなんと約3500万円。生産効率、味ともにまだ改良が必要だが、10~20年での実用化を目指すという。研究には、グーグルの共同創設者であるサーゲイ・ブリンがスポンサーとなっている。我々の食卓に人工肉が並ぶ日がやってくるのは、もはや時間の問題だ。

食糧危機に備えるため、より安く作るため、より美味しくするため—人間は自分たちのニーズに合わせて、あらゆる食品加工技術を「進化」させてきた。そうして作られた食品のなかには、福岡氏が言うように作るプロセスを見る機会はないものの、それを見れば眉をひそめたくなるようなものも少なくない。

そして、見た目は「本物」だが中身は「別物」という食品は、すでに日常的に食卓に並んでいる。たとえば、和食に欠かせない醤油。小麦と大豆を原料とする麹に塩水を加え、発酵させて作る日本人にもっとも馴染みの深い調味料だが、じつはこの醤油、ニセモノが多数出回っているという。