地方発のベンチャー企業が面白い。東京から離れた九州宮崎で、eコマースの領域に特化したテクノロジーとサービスを生み出している会社がある。
株式会社アラタナ。ネットショップのデザイン・システム構築から運用・SEO対策までをサポートする「カゴラボ」やネットショップのバナー制作やページづくりがより楽しく簡単にできる「スケッチページ」などサービスの運営を行っている。
アラタナの経営理念は「宮崎に1000人の雇用をつくる」こと。2007年の創業当初から、地元に根付いた目標を掲げ、サービスと雇用を生み出し続けているのが、宮崎出身の濵渦伸次氏(30)だ。
アラタナ、そして濵渦氏のこれまでとこれから---。
アラタナはeコマース専門のテクノロジー企業として、2007年に設立した会社です。
カスタマイズ可能なecプラットフォーム「カゴラボ」、商品ページやバナーが簡単につくれる「スケッチページ」などのソリューションは、4,000社を越すecサイトに採用されています。
その技術力を活かし、昨年9月にはドコモベンチャーズやリブセンスなどから5.5億円の資金を調達、メディアと連携したec事業を開始することになりました。
現在グループ120名の仲間と共に、「2020年、宮崎に1,000人の雇用をつくる」ことを目標に、チャレンジを続けています。
僕は、地元宮崎の都城高専を卒業して、電機メーカーに就職しました。その当時、サイバーエージェントの藤田さんやライブドアの堀江さんなどが次々に上場し「起業ブーム」と言われる時代のまっただ中でした。そのムーブメントに「自分ものりたい!」と思い、わずか3ヵ月で退職し、宮崎に帰ってきました。何の技術もなかった私は、カフェでもやってみるかと血迷って、隠れ家的なこじんまりしたお店をはじめました。
ところが、経験がないばかりでなく、店を構えた立地の人通りが少なすぎて、隠れ家的どころか、本当に隠れた店になってしまいました。さらに、時々友人が来ると嬉しくて、タダみたいな値段で飲み食いさせてしまう始末。オープンから半年後、あっという間に店は潰れてしまいました。
そして、結構な借金をしてしまった僕は、負債を返すために複数のアルバイトを掛け持ちし、ホームページ制作を勉強して、手当たり次第昼夜問わず働きました。今思い返すと、どう息をしていたのだろうと思うようなスケジュールでした。
働きづめでなんとか借金も完済した頃、高専の同級生である現専務の穂満と一緒に新しい会社を立ち上げました。全国に自分たちのサービスを売っていこうと決意し、二人で黙々とサービスをつくって、web上でサービスを紹介していきました。ところが全く売れませんでした。