日本人にとって生命保険は生活必需品となっているかのようだ。
生命保険の加入率でみると、男性では80・9%、女性は81・9%、60代の加入率はもっと高く、男性83・3%、女性83%であり、8割以上の人が加入している('13年、生命保険文化センター調べ)。これは世界にも類を見ないほどの高い水準といえるだろう。
しかし、定年を過ぎた人にとって、生命保険は本当に必要だろうか?
経済評論家の荻原博子氏が述べる。
「60歳を過ぎてからの多額の生命保険の保障は、私は不要だと思っています。
自分に必要な保障の金額を考えるには、まず自身の家庭を振り返ることから始めましょう。自分がいま死んだらどうなるかということです。
実際、60代の男性の方ならすでに子供たちが社会人となって、ひとりで稼いでいる人が大半でしょうから、自分が死んでも、妻の面倒は見てもらえると考えます。
たとえ、子供たちが残された妻の世話をするには少々きついかなと考えたときでも、妻には遺族年金が入ってくる、預貯金がそれなりにある、しかも最後は自宅も売れる、と考えていけば、わざわざ自身が生命保険に入る必要などまったくありません。
そもそも、死んだ後のことを考えるゆとりもないほど、長生きをするリスクのほうが、現代でははるかに大きくなってきます。
そんなときに必要なのは、保険よりも現金です」
60歳になったら、保険よりもお金をためることにひたすら重点を置き、保険を解約して、解約返戻金などを貯蓄に回すのもひとつの手である。
そもそも、定年後には生命保険が要らないと思う中高年は次第に増えてきているという。
では、60歳で一般的な生命保険をやめたとして、どのように、その不安を解消していくとよいのだろう。