まるで何者かから強制されるように入っている保険。人生でも指折りの高額な買い物。さて、保障内容言えますか? 自分の保険証券を隈なく読んだことがありますか? その保険、本当に必要なの?
「定年まで、数社の保険会社から勧められるままに、終身保険、医療保険、がん保険など10本以上の保険に入っていました。
私の保険料が6万円、妻1万5000円、長男1万5000円、長女1万円と、月々の保険料を合計10万円ほど払っていたんです。妻はそれ以外にも別の定期保険に加入していました。
定年前にそんな保険料の支払いで満足に貯蓄ができなかったために、現在の生活レベルは現役時代の3分の1以下にせざるをえませんでした。
妻と子供のためを思って次々保険を契約したことが、結局、自分の老後を貧乏にしてしまったんですかね」
定年後の悠々自適な生活を待ち望んでいたはずの元大手商社マン・町田義男さん(62歳、仮名)が嘆いたように、生活の安心を保障してくれるはずの保険に、首を絞められてしまう人は多い。
万が一のときの安心を買おうと入った保険だったのに、満期まで支払わねばならぬ高額な保険料のせいで、気づいたときには定年後の生活費が圧迫されてしまう。
「保険金ビンボー」の幕開けである。
そうならないためにも、まずは、「保険の基本」を押さえておこう。
貯蓄が足りなくなる
家計再生コンサルタントの横山光昭氏によれば、月々の保険料が手取り収入の5%を超えていた場合には、保険を見直したほうがよいという。
「保険は勧誘されるままに入るケースが非常に多く、一度加入すると、固定費として最後まで支払い続けてしまいがちですから、定年などを機に、家計に占める割合を計算してみてはいかがでしょうか」
特約がふんだんにつき、保険料ばかりがかさむ「使えない保険」に数多く入るくらいなら、タンス預金をしておくほうがずっとマシということである。
「家計の見直し相談センター」代表の藤川太氏が語る。
「保険に入るときのポイントは、将来の自分の状況を認識すること。時間軸をもって、収入が途中で落ちたり、年金生活になっても保険料を支払えるのかを考えることです。