特別寄稿 『ブラック精神科医に気をつけろ!』
第1回「うつの痛みと過剰投薬の実態」

読売新聞東京本社 医療部記者 佐藤光展
佐藤 光展 プロフィール
大量処方の果てに、主治医は匙を投げた

あきれるほどの大量処方

主治医は代わったが、外来でも相変わらず多剤大量処方が続いた。16歳の時の外来処方を見てみよう。

毎食後 セロクエル(抗精神病薬)、コントミン(抗精神病薬)、レキソタン(ベンゾジアゼピン系抗不安薬)、アキネトン(抗パーキンソン病薬)、トリフェジノン(抗パーキンソン病薬)

朝・夕食後 リスパダール(抗精神病薬)、ヒベルナ(抗ヒスタミン薬・抗パーキンソン作用)

夕食後 ジプレキサ(抗精神病薬)

寝る前 レボトミン(抗精神病薬)、セロクエル(抗精神病薬)、ロンフルマン(チエノジアゼピン系睡眠薬)、ベンザリン(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)、ヒベルナ(抗ヒスタミン薬)

毎食前 ツムラ大建中湯(胃腸の調子をよくする)

 これでも入院中よりは減ったのだという。1種類の使用が原則の抗精神病薬が5種類、依存性のあるベンゾジアゼピン系などの薬剤が3種類、薬の副作用として現れるパーキンソン症状を抑える薬が3種類……。当然、タクヤさんの体調はすぐれず、近所の内科で安静時の脈拍が140もあることが分かった。内科医は「このままでは危ない。薬が多すぎる」と危機感を抱き、精神科病院に電話で警告したが、以後も薬は減らなかった。