アメリカの高齢者の間で広がる性感染症

『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨーク・タイムズ・セレクション」より
〔PHOTO〕gettyimages by thinkstock

文:エゼキエル J.エマニュエル(ペンシルヴェニア大学学長)

感染者の増加率は20代とほぼ同数

老人ホームや介護付き住宅など、退職後の米国の高齢者居住区では何が起こっていると思いますか? そう問うと読者は、静かな読書、クロスワードパズル、あるいはビンゴやおそらくたまのシャフルボードなどをイメージするだろう。しかしもう一度よく考えてほしい。セックス、それも安全ではないセックスのことを。

米国保険社会福祉省は、メディケア(65歳以上の高齢者を対象とする医療保障)に関するほとんど知られていなかった報告書を数ヵ月前に公開した。そこに驚くべき統計が記載されていた。それは、2011年度および2012年度に、メディケア受給者の220万人が性感染症の無料検診とカウンセリングを受診し、そのうち、6万6000人が無料のHIV()テストを受けたというのだ。

この性感染症の無料検診を利用した登録者の数は、大腸ガンの無料内視鏡検診を受けた人数とほぼ同数で、メディケア受給者総数の約5%にあたる。

疾病対策予防センターが公開した数字は、シニアの中で性感染症が急速に広まっていることを示している。2007年から2011年にかけて、65歳以上の米国人の中でクラミジアに感染した患者数は31%、梅毒感染者は52%増加している。この数字は20歳から24歳にかけての性感染症の傾向と類似しており、この年齢層では、クラミジアは35%、梅毒は64%増加している。専門家は、性感染症がシニア層で増えた背景には4つの大きな要因があると示唆する。

):HIV(ヒト免疫不全ウイルス)が原因となってエイズ(後天性免疫不全症候群)が発症する。

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