ピクシブ代表取締役社長・片桐孝憲「個人最強時代だからこそ、チームで生み出して、個人で作れないようなすごいものを作る」

81世代の起業家たち
片桐 孝憲

それでも上谷(馬骨)さんが2ヵ月くらいかけて「pixiv」を作りました。当時の僕らの目標はユーザー2000人だったんですけど、蓋をあけてみたら、リリースして3日で2000人を超えました。驚いてたら、あっという間に1万人突破したんですね。で、みんなでピザ食べて、馬骨さんを胴上げしたら、右腕がめちゃくちゃ痛かったんですよ。ちょっと前に転んだこともあって、その時、僕の右腕は骨折してました。でもそんなの気にならないくらい嬉しかったです(笑)

自分たちで作ったサーバー

ユーザーが1万人達したことよりも、pixivができて1週間くらいでユーザーさんたちの間で「ピクシブたん」を書こうという企画が立ち上がって、イラストがたくさん上がったことが、すごくいいな、と思ったんですね。pixivがなかったら、こういうイラストが生まれてこなかったんだ、新しい作品が生まれるきっかけになっているんだとすごく感動しました。それで、このサービスに賭けてみようと思ったんです。

当時会社に現金がほどんどなかったので、消費者金融4社から50万円ずつ計200万円を借りて、なんとか乗り切りました。サーバーも自分たちで作って、オフィスに置いて、サーバーのためにクーラーかけるから冬も寒いし、サーバーが増えて社員がオフィスから飛び出しちゃったりして。

当時社員6人いたんですが、社員には給与をちゃんと払っても僕自身の給料はゼロでした。

今考えるとどう生活してたか記憶があいまいですが、なんとか生きてました(笑)。

ユーザーの投稿で気付いた新たな理念

2007年当初のpixivの理念は「より多くのイラストを集める」ことでした。インターネットサービスの根本的な思想は、大量の情報を処理することです。このpixivの理念はそこに沿っている。でも、1年くらいしてから、それはpixivのやるべきことか?ともやもやしてたんですね。大量の情報を処理することがpixivがやるべきことなのか?って。

そんな時に、pixivに『ぱげらった』さんというクリエイターが「ピクシブたん漫画」という作品を投稿しました。三度の飯より絵を描くことが好きなキャラがいて、絵を描いたらうまくなくて罵られるんですが、練習してうまくなっていく。うまくなったらもっと評価が欲しいと思うんですが、昔の絵を見て、「お絵かきが楽しい!」という気持ちを忘れていたことに気づく、という物語なんですね。これを見て「超いい!」と思って。より多くの絵を集めることじゃなくて、お絵かきがもっと楽しくなる場所を作ることが、僕たちがやっていくべきことだと気づいたんです。

ユーザーさんの投稿がきっかけでpixivの理念は、”より多くのイラストを集めること”から”お絵かきがもっと楽しくなる場所を作る”ということになりました。