バイラル、動画、ミレニアル世代、調査報道・・・影響力を増す海外新興メディアの視点

佐藤 慶一 プロフィール

調査報道に乗り出す新興メディア

ピエール・オミダイア氏[PHOTO]Getty Images

最後に言及しておきたいのが、新興メディアの「調査報道」だ。まずはイーベイ創業者のピエール・オミダイア氏が2013年10月に立ち上げを発表した「First Look Media」について紹介する。

CIA元職員エドワード・スノーデン氏の事件でも知られている英国ガーディアン紙の元コラムニスト、グレン・グリーンワールド氏が参画していることでも話題となった。

まだメディアは立ち上げってはいないが、かねてから「調査報道」を行うことも名言している。「First Look Media」は、営利と非営利に分かれ、オミダイア氏は資金面とともに、発行人として携わる予定だ(初期投資では5000万ドルとなっている)。

非営利メディアでは政治、スポーツ、エンタメ、ライフスタイル、アート、カルチャー、ビジネス、テクノロジー、そして調査報道、とかなり手広くコンテンツ展開を行っていくようだ。その一方で、メディアテクノロジーを基軸とした営利会社も創業する予定。

現状、ドキュメンタリー作家や大学教授、調査報道記者、大手メディアの編集者や特派員、ジャーナリスト、ライター、科学技術者など多様な顔ぶれが揃っている。今後も増えていく予定だ。

先日、公式ウェブサイトとティザー動画が公開されたばかり。動画では、概要とともに、ジャンル多様なデジタルマガジンの発刊、記者が良質な記事を生み出すための人的・技術的・金銭的なあらゆる支援、設立予定のテクノロジー企業の3つのポイントについて触れられている。2014年最も注目されるウェブメディアになることだろう。

First Look Media from First Look Media on Vimeo.

続いて、「バイラル」のところで紹介したバズフィードも「調査報道」を行う体制を整えつつある。

2012年に政治メディア「POLITICO(ポリティコ)」で活躍していたベン・スミス氏を編集長に迎え、政治、ビジネス、調査報道、長文ジャーナリズムの分野にも積極的に乗り出しはじめた。

さらに、2013年10月末には、調査報道で知られる非営利メディア「ProPublica(プロパブリカ)」に在籍していた記者マーク・スクーフ氏を調査部門に迎え入れた。

彼は、プロパブリカより前に在籍していた「The Village Voice」というメディアで、ピューリッツァー賞を受賞している。その後、ウォール・ストリート・ジャーナルとポリティコで記者として活躍した後、バズフィードの調査部門を率いることになったのだ。

先に紹介したように、バズフィードはネイティブ広告でのマネタイズがうまくいっている。その資金を調査報道や長文コンテンツにどのように活かしていくのか。「LONGFORM」のカテゴリーを追っていくとその成果が見えてくることだろう。

新聞社がコストの問題でなかなか調査報道に注力できていないことも多い中、新興メディアが続々と調査報道や長文コンテンツの発信に精力的に取り組んでいることは強調しておきたい。

以上、海外における新興メディアを語る上では重要なキーワードを紹介した。今回は、「バイラル」「動画」「ミレニアル世代」「調査報道」という4つの視点を取り上げたが、またの機会に新興メディアの違った視点についても紹介できたらと考えている。

このような新興メディアの視点が、今後のメディア設計の参考になればと思う。