バイラル、動画、ミレニアル世代、調査報道・・・影響力を増す海外新興メディアの視点

佐藤 慶一 プロフィール
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ミレニアル世代(Millennials)をターゲットに据えた新興メディア

続いて、「ミレニアル世代」をターゲットとした新興メディアについて見ていきたい。まず注目すべきメディアは、出資者にスティーブ・ジョブズ夫人のローレン・パウエルがいる「OZY」だ。

マッキンゼーを経て、MSNBCのアンカーを務めたカルロス・ワトソン氏が立ち上げた同メディアは、1981~2000年頃(年齢で言うと15~35歳あたり)に生まれた人を指す「ミレニアル世代」に向けて情報を発信している。彼は、ニュースアンカー以外にも、2009年に「The Stimulist」というニュースサイトを立ち上げた経験もあり、その手腕に期待が寄せられるところだ。

2013年9月にローンチしたばかりの非常に若いメディアではあるが、1日10本ほどの質の高い記事を更新しており、かなりの長文記事もよく見かける。これまでに540万ドル(約5億円)の資金調達を実施しており、約40名のチームでメディア運営をしている。

記事作成にあたっては、ファストなニュース作成と差別化するため、「Thoughtful(思慮に富んだ/思想の豊かな)」な記事作成を心がけているとのことだ。

「Policymic」のトップページ

同じ「ミレニアル世代」に向けたメディアとして挙げられるのが2011年に立ち上がった「Policymic」だ。若者向けのメディアとして順調に成長しており、約1000万人の月間読者を獲得している。

ハーバード大学とスタンフォード大学出身者が立ち上げたメディアとして注目が集まっているのだが、政治系の記事を情報発信の中心に据えているのが興味深い。もちろん政治のみでなく、若い読者に読んでもらえるよう、アートやエンターテイメント、カルチャー系のコンテンツについても積極的に発信している。デザインのリッチな感じも若い人に受けている一つのポイントかもしれない。

その他の特徴としては、若い世代の議論の場となるように、独自のコメントシステムを導入している。サイトでは「Mics」という仮想通貨を利用して議論を展開する仕組みを取り入れている。

登録時は「0Mics」で、コメントできる字数も300語以内に限られているが、議論に対して有意義なコメントを投げかけると通貨を獲得できたり、より長いコメントが可能になったりと、コメントにゲーミフィケーションの要素を組み込んでいる。良質な議論の場を生み出すために新興メディアが行う取り組みについても注目したいところだ。