『その手があったか! 「ニッポンのたたき台」』 ~民管理職39人のタスクフォースが考えたニッポンを鍛える55の提言

序章より一部抜粋

もう一つ、グローバル人材の育成が待ったなしであることも、その理由に挙げられます。ボーダレス時代の今、グローバル人材の必要性が連日新聞や雑誌を賑わしています。すでに政府の諮問機関「教育再生実行会議」は、小学校四年生からの英語教育を提言しています。

このような記事を目にすると、すぐに「グローバル教育=英語」と短絡的に結びつけてしまいがちですが、グローバル人材にとって英語は必要条件ではあっても十分条件ではありません。最も重要なことは、日本人としてのアイデンティティを持つこと、日本人のルーツや日本の文化、歴史について深く精通した「日本人の軸」をつくることでしょう。

自分の軸ができれば、それを基にして相手の文化や考えを理解することが可能となります。いかなる背景を持つ人に対しても公正に自分の考えを、自分の言語で伝えることができてはじめて、真のグローバルな人材といえます。すべての子ども達が初等教育の段階で、日本人の軸をつくる準備ができる学びの機会を与えることが必要です。

日本の規律・しつけ・道徳は世界で高く評価されてきました。私たちが2013年5月にフィンランドを訪問した際に「親がしつける力の低下」について質問すると、「日本のような規律のある国でもフィンランドと同じ問題を抱えているのか?」と驚かれたほどです。世界からも評価されるしつけや道徳などの良い点を維持・向上していくことは、幼児・初等教育の段階で「日本人の軸」を涵養するために大いに役立つことでしょう。

家庭が果たすべき役割の一部を学校がサポートするという視点も重要です。日本の人口は減少を続け、2050年には一億人を切ると推計されています。同時に一五歳から六五歳までの就労人口も大きく減少します。このトレンドの必然的な帰結として、日本の活力を維持していくためには、現在は就労率の低い女性が働きやすい環境を整えることが急務になります。

ここに学校教育が果たすべき新しい役割を見いだすことができます。昔のような三世代が同居する大家族は少なく、夫婦と子どもの核家族、さらには単身世帯が主流となった現在では、育児などを家庭内で完結することは期待できません。

子どもと長時間かつ長期間関わり続ける学校は、家庭の役割の一部をサポートする重要な公的部門の一つに位置づけるべきです。

その手があったか!ニッポンの「たたき台」
(著)フォーラム21・梅下村塾「あるべき、この国のかたち」を考える会

⇒本を購入する(AMAZON)
⇒本を購入する(電子書籍)

以上のことから、私たちは、「すべての子どもが、アイデンティティと知力を身につけられる」、「すべての子どもが、親が共働きでも一二歳まで公立で安心して教育を受けられる」ように、日本の教育をつくり変えていくことが重要だと考えます。

すべては子どものために

私たちは全国津々浦々、北は秋田から南は沖縄まで、海外は英国、フィンランドの学校現場や行政機関、教育に関する企業などを訪問してきました。辿り着いた答えが、「教育に関する一五の提言」です。

親が学校や教師を、教師が行政や親を・・・お互いを批判していても何も得られません。私たちが多くの人にお会いして幼児・初等教育について語るとき、いつでもどこでも誰とでも一致した方針はただ一つだけ「すべての子どものために」です。私たちの提言は、この方針に則ってまとめあげたものです。