食べるを変える、フィードイノベーション社代表 佐藤氏の挑戦 【前編】

株式会社フィードイノベーション(以下、フィード社)は、昨年国内で初めて一次産品であるお米「あきたこまち胚芽米」のハラル認証を取得したことで業界の注目を浴びた。
フィード社は有機農産物や加工食品のマーケティング支援を行うだけでなく、商品の収益向上を目指したコンセプト設計やチャネル開発の支援を行っている。
さらにハラル商品ワンストップサービスの一環として、独自の日本産プレミアムハラール食品ブランド「HACHI」を立ち上げるなどその動きは活発だ。
彼らがどのような理念で事業を行い、そして今後どのような取り組みを進めていく予定なのか、フィード社代表取締役の佐藤仰喜氏に話を伺った。

フィード社の事業は大きく分けて3つある。有機農産物・加工食品のマーケティング支援、ギフトコンセプト及びチャネル開発支援、そしてハラール食品のワンストップサービスだ。

フィード社としてマーケティング支援を行ったあきたこまち胚芽米は、実は佐藤氏の実家で生産されている農作物である。このため佐藤氏の米や農産物に関する知識や想いは人一倍深い。

ここ最近はTPPによる価格競争、少子高齢化などによる消費市場の縮小、原発事故による放射性物質の汚染など、農業を取り巻く問題は深刻化しているため、このような環境変化に対応できる商品開発が急務だ。

しかし農産物の産地や銘柄だけを見ると同様の商品が数多く市場に出回っているため、農産物それ自体だけではとても差別化しにくい。

そのような条件の下でどのように商品の差別化を図るか考えたとき、生産者個人の哲学や思いが一番の差別化要因になると気付いたと佐藤氏は言う。

フィード社が取り扱うあきたこまち胚芽米は、まさにそのストーリーを強く持つ商品だ。

力のある食材を作りなさい

あきたこまち胚芽米

生産者である佐藤氏の父、則久さんがあきたこまち胚芽米を始めたのは、ある大学の栄養学教授から「力のある食材を作りなさい」という助言を受けたことがきっかけとなっている。その当時、普通の白米だけを生産していた則久さんは商品の差別化などに苦慮していたが、その言葉をヒントにして胚芽米に辿り着いた。

胚芽米とは、米種子から糠(ぬか)のみを取り除き、栄養を豊富に含む胚芽を残すよう加工された米のことを指す。

この胚芽部分にビタミン、食物繊維、GABA(ギャバ)が多く含まれているため、ビタミン不足で起こる脚気(かっけ)病対策として食べられるなど、健康食品として認知されている。

もちろん玄米の方がそれら栄養素の含有量が高いが、玄米には独特の臭みや硬さがあり、炊飯すると暗い色で炊き上がってしまうため、特に幼児などに好まれにくい。

それに対して胚芽米はほぼ精白米と同様に扱うことができるため、調理しやすく、美味しく、消化されやすい。

佐藤則久氏

佐藤氏の言葉を借りるなら、その胚芽米の特長は「玄米と白米の良いとこ取りをしたもの」という表現になる。これは健康志向、子育てに取り組んでいる母親にとって、とても魅力的な食材だ。

しかしどれだけ胚芽米が優れていたとしても、農薬をたっぷり含んだ土地で育てたものを食べていたら意味がない。生産者として子どもや家族の健康を守りたいと考えた則久さんは、周りに農薬を撒いている水田のない休耕地を耕して生産を行っている。

だが、これはけして易しい作業ではない。

休耕地を一から開拓する際のコストは、既に水田として利用されている場所を耕す通常の労力の2~3倍程度かかるそうだ。

また、一般に田植えの際は一坪に60~80株を植えることが多いが、則久氏の農園では一坪当たり多くても50株程度に留めているという。

坪当たりの種苗数を減らすことで苗同士の間隔が広がるため、より多くの栄養を苗が受け取ることができ、栄養が豊富な成熟米として育つ。

量より質を優先した結果、このような栽培方法を採用するに至ったという。このようなストーリーを持った商品は確かに消費者に訴えかけるものがあるだろう。

〈後編につづく〉

神田 真仁
ハラルニュース編集長 / IT起業家 現在は主に日本を拠点としてITビジネスを行なっていますが、海外経済視察やビジネスなどで年に数回は世界(主にASEAN、その他新興国)を訪問しています。 大手企業などで各種IT系(基幹系システム、webサービス、モバイルアプリ)のプロジェクト管理・企画・開発を経験。 イスラム教のハラルビジネスに関するコンサルティングなども行っています。

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