面接官「あなたをモノにたとえたら?」学生「はい。消しゴムです」お互いが真剣に迷走中!「人物本位」の就活、こんなにヒドいことになっていた

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「就活生ははっきりと二極化しています。

やる気のない学生の特徴は、代わりに親がやたらと熱心で、ガンガン介入してくること。面接会場の近くまで付いてきて、終わるまで待っているなんてケースはザラ。エントリーシートの締め切りが間に合わないとなると、母親が直接会社に持ってきたりするんです。そういった学生は、『親が勧めたから』と、面接でも恥ずかしげもなく志望動機を口にします。しかし、これでは当然内定はもらえません」

こういった親たちの特徴が、もう一つある。就活事情に詳しいルポライターの石渡嶺司氏が解説する。

「知名度のある会社ならどこでもいいという親が、非常に多いのです。

一番驚いたのは、無名だけれど、地元の優良企業に決まりかけた、ある優秀な学生のケース。ほぼ内定となった時、父親が大反対したんです。『そんなところに入るくらいなら、ビックカメラでアルバイトしろ。最初はバイトでも、いずれ正社員になれるんだから』と言い放ち、その優良企業に電話して、勝手に内定辞退を申し込んでしまった。根拠なんて何もない。ただ、全国的に有名な企業に入れたいだけなんです。こういった親に振り回される学生も、少なくないのが現状です」

これは喜劇か、悲劇か?

そもそもこの国の就活制度自体に違和感を覚えると語るのは、お茶の水女子大学名誉教授で、数学者の藤原正彦氏だ。

「たかだか10分や20分話してみたところで、初対面の相手のことがわかるわけはないのです。選ぶ人間の人格以上の人は、選べません」

学生の能力を正しく判断できない企業。そして、正解の見つからぬまま空回りする就活生とその親たち—。負のスパイラルにハマり続けても、何の意味もないと藤原氏は続ける。

「それより、学生は大学の4年間はもっと勉強するなり、恋愛するなり、読書するなり、就活以外のことに注力すべきです。貴重な学生時代の半分を、こんなくだらない就活のために割くのはおかしい。会社に入れば勉強なんてできないんだから、学生時代をもっと有意義に過ごさないともったいないですよ」

思想家の内田樹氏も、学生が就活に時間と労力を捧げすぎる現状はおかしいと持論を述べる。

「大学卒業までは就活禁止にし、卒業してから半年なり1年なりをかけて、ゆっくり仕事を探す仕組みを作ればいい。大学4年間は、どんな仕事に就いても役立つような汎用性の高い知力と感性をじっくり整える。それで十分でしょう。今は大学2年から浮き足立ち、薄っぺらな専門知識を即席で身につけようとして、実のあることをほとんど学ばないまま卒業・就職している。国家的な損失だと思います」

学生も企業も得をしない、就活という壮大な喜劇—いや悲劇を、いつまで続けるのだろうか。

「週刊現代」2014年2月8日号より

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