仏パリ6区のサン・ジェルマン・デ・プレ地区は、かつて、哲学者ジャン・ポール・サルトルや歌手で女優のジュリエット・グレコ、映画監督ジャン・リュック・ゴダールら、数多くの哲学者・作家・音楽家・俳優・映画監督たちが集う、文化的活動が華やかなパリの中心エリア。現在、この地区に事務所を構える独立系出版社「ヴァンセット・リュ・ヤコブ(27 rue Jacob)」は、この地に長年はぐくまれてきた文化的土壌を受け継ぎ、2010年3月、ジャーナリズムとフォトグラフィーをつなぐ年2回刊誌「6 mois」を創刊しました。
「6 mois」は、世界中からフォト・ルポタージュを集めたフォトジャーナリズム雑誌。毎号、全編350ページにわたって800枚規模の写真が掲載され、テキストはフランス語で執筆されています。この雑誌には、フランス国内のフォトグラファーのみならず、米国・イタリア・スウェーデン・グアテマラなど、世界各地のフォトグラファーも参加しており、国際的な取材チームで製作されているのが特徴です。
2013年9月に発行された「6 mois」第6号では、エストニアの学問・文化の中心地タルトゥ(Tartu)で暮らす若者の日常や、かつて人種隔離政策によって迫害を受けた南アフリカ共和国ヨハネスブルグ市ソウェト(Soweto)の現状、中東イエメンの砂漠地帯で生活する女性たちが抱える課題などを特集。いずれのテーマも、長期間にわたって現地での取材を重ね、何千枚にもおよぶ写真の中から厳選し、語るべきストーリーがスムーズに読者に伝わるよう、丁寧に編集されています。