激論!「親子のDNA鑑定」「高齢出産」「体外受精」科学の進歩が、新しい苦悩を生む

声に出して言いにくい「日本の大問題」第1回 山折哲雄×二宮周平×田口早桐
週刊現代 プロフィール

田口 ただ、医者はあくまでも「技術屋」であって、語る言葉をもっていません。電気工事士が、日本の電力事情について語ることを求められるようなものです。

産婦人科医は常に、目の前の女性や赤ちゃんをいかに助けるかを考えている。その助けになる技術があれば、飛びつくのは当然です。

山折 モラルは必要ないというわけですね。

田口 実際に不妊に悩む方は、モラルの高い医師よりも、技術の高い医師を選ぶでしょう。彼女たちを救うのは、技術なのですから。

山折 そのような考え方からは、原爆の開発にもつながる科学者のエゴが透けてみえるではありませんか。こうして医療技術や科学の進歩はとどまることがありませんでした。

もちろん科学の進歩によって人生の選択肢が増え、幸福になる人も社会にはいるでしょう。今までなら子供を持ち得なかった人でも、子供ができるようになるかもしれない。しかし、広がった選択肢の中で、女性たちがどれを選んだらいいか。そこで悩みが深まる。それに伴って生ずるリスクにも目を向けるべきです。その女性たちの生き方が幸せかどうか。そして、今まさしくその問題に直面しているのがアラフォー世代です。

二宮 出産を遅らせて働かざるを得なかったアラフォー世代が、今とても多い。そうしなければキャリアが築けなかったからです。20代で出産を考えると、一度キャリアがリセットされてしまう恐れがある。だから、会社から戻ってきてほしいと言われるだけのスキル、ポジションを手に入れるまで、働かざるを得ない。

山折先生が、美輪さんや安藤さんの生き方を参考にすべきと仰るのはわかります。ただ、その二人は人並み外れて強い精神を持っている。誰もがその二人のように振る舞えるわけではない。普通の方が、いかに生きることが幸せなのか。それを制度が、そしてもちろんパートナーがサポートしなければいけない。

親になる条件とは

田口 生殖補助医療が、彼女たちの助けになるんです。確かに、不妊治療の多くは費用対効果が悪い。何百万円もかけても、子供ができない人もいる。でも子育てをするときに、キャリアを積んでいるほうが経済面で安定しているし、精神面でも成熟している。苦労してできた子供ということで愛情も深まる。高齢出産にもメリットはあるんです。