激論!「親子のDNA鑑定」「高齢出産」「体外受精」科学の進歩が、新しい苦悩を生む

声に出して言いにくい「日本の大問題」第1回 山折哲雄×二宮周平×田口早桐
週刊現代 プロフィール

大沢さんは、血のつながりの有無に関しての葛藤は抱えているかもしれないが、お子さんの叫びに真剣に向き合い、苦悩しているかと言えば、私にはそうは見えなかった。

二宮 私の考えは違います。日本の婚姻制度は、血がつながっていようがいまいが、妻の生んだ子を夫は自分の子として育てる、そういう仕組みです。大沢さんは、DNA鑑定の結果を受けても、お子さんを我が子として認め、発言をしていた。父として責任ある行動をしていたと思います。

田口 産婦人科医の立場から言わせて頂くと、例えば、体外受精で子供をもうけた場合、このようなことが起こる可能性は低いんです。なぜなら、Aさんという男性の精子と、Bさんという女性の卵子を採り出して、人工的に受精卵を作るのですから。誰が親かは明確です。誰とセックスしていたかは問題にはならない。子供を作るのに、必ずしもセックスは必要ない時代です。

山折 生身の人間が技術に脅かされはじめている。ゾッとする話ですね。

田口 ただし、体外受精でも、女性の側が明確な意思を持って、夫とは違う男性の子供をもうけることは考えられます。体外受精を希望される女性が、病院に採取した精子を持参することがある。私たちは、それが誰の精子なのか知るすべを持ちません。夫とは違う男性の精子をもって来られても、判断できない。

山折 そういったお話を聞く度に、生殖補助医療、体外受精が何の議論もなく広がっていくことに私は不安を覚えます。生まれてくる子供を、誰が守るのか。自分の親が実は親ではなかった、本当の親が誰だか分からない。それを知った時に、ショックを受けるのは子供なのです。やはり、科学の進歩が生んだ、新たな苦悩の一つと言えるでしょう。

二宮 「出自を知る権利」の問題ですね。体外受精が広まった現代では、精子を提供した第三者、つまり血縁上の父親について、子供がその情報を知るべきか否かは非常に重要な問題になっています。多くの国では、精子提供者の情報を教える傾向があります。一方フランスでは、精子提供者を伝えないと法律で定めている。

それは親のエゴなのか

田口 昨年、民法が婚外子の相続差別を撤廃するよう改正されました。それを受け、日本産科婦人科学会が、婚姻関係にない事実婚であっても体外受精を認める方針を示したと、1月6日に報道されました。