◆副島隆彦『税金官僚から 逃がせ隠せ個人資産』幻冬舎、2013年
リバタリアン(絶対的自由主義者)としての副島隆彦氏の本領が発揮された実に興味深い作品だ。国家は、官僚という階級によって維持されていて、その原資が税金である。消費税という形で、「広く薄く」税を取り立てることでは、官僚階級を養えなくなったので、富裕層への増税を、主要先進国の政府は目論んでいる。日本もその流れに巻き込まれているということだ。
<今度の自民党の憲法改正の私案(草案)には、今の憲法を変えようとしていて、「言論の自由も無制限ではない」といったことが平気で書かれていて呆れた。私は、小金持ち、資産家、投資家たちに堂々と言う。「税金官僚たちが勝手に作った法律なんかにバカ正直に従わなくていい。自分の資産の、逃すべきを逃し、隠すべきを隠しなさい」と。(…以下略)
富裕層の資産防衛として、副島氏は「備蓄」の重要性を説く。
<いくらアベノミクスと東京オリンピック景気が生まれると言っても日本はこれから株と債券と土地が下落しそうである。十分に下落したあとの焼け野が原の日本に再投資する。少なくとも最低5年~10年の中長期的視点を持つ必要がある。
預金を銀行に預けっぱなしもいけない。日本人は預貯金のし過ぎだ。だから預けた金を銀行にいいように使われているのだ。アメリカ人はほとんど預金などしない。自分たちのドルを信用していない。やがて暴落するとわかっている。その日暮らしのカードローンの借金で生きている。私たちは激しいインフレが来そうになるまでは、手元に常に1000万円くらいを生活費として置いておくことが大事だ。そして激しいインフレになりそうになったら即座に実物資産に換えなければいけない。各種の鉱物資源がいいが、長期保存のきく食糧品でもいい。それらを備蓄することを考えるべきだ。(…以下略)