【事実関係】
1月19日(日)に行われた沖縄県名護市長選挙で、現職の稲嶺進氏が当選した。
得票数は、稲嶺進氏1万9839票、末松文信氏が1万5684票で、投票率は76.71パーセントだった。
【コメント】
1.
名護市長選挙では、米海兵隊普天間飛行場の同市辺野古への移設の是非が最大争点になった。
2.―(1)
移設阻止を公約に掲げた無所属現職の稲嶺進氏(68歳)[社民、共産、社大(社会大衆党、革新系地域政党)、生活推薦]が、移設推進を打ち出した無所属新人の末松文信氏(65歳)[自民推薦]との一騎打ちを4155票差で制した。中央政府、自民党本部仲井真沖縄県知事が総力をあげて末松候補を応援したにもかかわらず、4000票以上の差がついたことは稲嶺陣営の圧勝といえる。
2.―(2)
稲嶺市長は、辺野古移設計画を市長権限を最大限に行使して阻止すると明言しているところ、辺野古移設計画の実現は著しく困難になった。(…略…)
5.
東京の公明党本部が、公明党沖縄県本部の造反を抑えることができなかった。このことは、中央政界においても自民党と公明党の協力関係に無視できない影響を与える。安倍晋三首相の靖国神社参拝や集団的自衛権容認に対し、公明党の支持母体である創価学会の反発が強い。名護市長選挙における移設反対派の勝利を少なからぬ創価学会員が肯定的に評価しているところ、今後、創価学会の突き上げによって公明党が沖縄問題、外交安全保障問題、歴史問題などで安倍政権と距離を置く可能性がある。
6.
末松候補を全面的に支援した仲井真弘多沖縄県知事の政治的影響力が著しく低下する。特に20日、『琉球新報』社説の以下の知事批判が今後、県議会、有識者、世論においても強まって来るであろう。