三井: 東大受験をされた皆さんなら読まれたことがあるかなと思いますが、『ドラゴン桜』、そもそも受験を題材にしようと思ったきっかけは何なのでしょうか。
三田: これはですね、わりとこういう漫画雑誌ってラフな企画の立て方でして、「何かないっすかね」みたいなノリなんですね。で、たまたまモーニング編集部のほうから熱血学園教師モノの漫画をできないですか、みたいな話が来たんです。
でも、ただ普通にそういうものをやってもなかなかうまくいかないだろうっていう予感があってですね。じゃ、三流高校から東大へ、そういうちょっとスポ根チックな筋立てならうまくいくんじゃないか、と思いついたんです。
三井: 実際、東大受験をされた小林さんは、『ドラゴン桜』を読まれてたんですか。
小林: もちろん読みました。『ドラゴン桜』を読んで東大を目指したというぐらいなので。
三田: もう絵にかいたような読者ですね。うちの企画に見事にはまってくれた。
小林: (笑)。読むまでは、東大への進学なんて考えたことなかったんです。地方出身なので、東大は遠い海外のような存在でした。ですが、親が『ドラゴン桜』の漫画を買ってきまして、読んでみたら、「あれ? これ意外に東大に行けるんじゃないの」っていう気になりまして、それで、実際に東大を目指すようになりました。
実際のところ、僕の友達にもたくさん『ドラゴン桜』を読んだ人はいますし、東大生、『ドラゴン桜』を読んで東大を目指したっていう人は多いんじゃないかなというふうに思います。
三田: 本当なら受かるはずの人が、実は東大を受けてなかったっていう例が結構多いんですよね。進学指導の先生は、「落ちる」っていうことにすごく恐怖感を感じるんですね。だから、なるべく受かりそうなところをみんな勧めるんです。で、子どもってわりと素直なんで、本当は東大に受かるんだけど、別の「○×大学でいいんじゃないか」みたいなことを言われると、そうしてしまう。
三井: もしかすると、挑戦すれば(早稲田大学出身の)私も受かったかもしれないですね。
三田: そうなんですよ。実は、意外と受けると受かるんですよね。特に地方のまじめな子なんかは、ものすごい勉強するんで。