林千晶×横田響子×小林麻実×堀潤【前編】 「教育的・情報的な『常識』があるから、女性のエリートが育たない」

Work(ワーク)とJob(ジョブ)では印象が違う

堀: お隣はここアカデミーヒルズ六本木ライブラリーのアドバイザーを務めていらっしゃり、4000人にのぼる第一線のビジネスパーソンのスレッドを作り続けていらっしゃいます小林麻実さんです。よろしくお願いします。今回のディスカッションの中で、どんなことをみんなに伝えたいですか?

小林麻実氏

小林: このお話をいただいたときに思ったのは、女性の働き方を話すのに女性だけでやったら面白くないよね、と思ったんです。そういう感じが、みなさんに伝わるといいなと思っています。

逆説的に言うと、女の人だけで、女の働き方を考えるというのはおかしいし、たぶん今の日本で女の人が不利だったり「男の人と違う」と思われていることが問題になるということは、日本に多様性があまりないということを意味していると思います。

別に女性でなくても、男の人だって他の男の人と違うところがそれぞれあるだろうに、いろんな人がいろんな働き方ができる多様性ある社会が望ましいのに、「女性」という枠でくくっちゃうのはどうなのかなと思います。

堀: アンケートをとってみましょう。2万人に近い人がアンケートに答えてくれます。今日は議論の中で、女性の働き方に触れつつ、日本の課題点について、あるいは就職活動がはじまったのでそのアドバイス、新しいことをはじめたい人にアドバイスなどを話し合っていただければと思っています。

では、アンケートを開いてみましょう。「私は男性か女性か」、男性68.5%、女性23.6%。私は去年ロサンゼルスにいて、お祭りのときに裸になりますけど、バスなどの公共交通機関を利用するときにハンカチをひくかどうかを議会で話し合われていました。それはフラットでほんとにいいなと思いました。男女の区別なく。クリエイターが集まるし、だからこそIT集積地なんですよね。

最初に話を進めていくにあたって、横田さんは実際に起業家を支援していらっしゃるのですが、その中で感じる現状や課題についてぜひお話ください。

横田: 女性のほうが自由奔放なのか、男性に比べて若く起業されることが多いですね。就労経験のキャリアが短く起業される方が多いので人脈不足・資金不足みたいなことはよく言われます。けれど、フットワーク軽く、地道に着々と、あまりリスクをおかさないでスローな起業をされる方が増えてるなあと感じますね。

堀: 「スローな」というキーワードが出ました。また、就職に関して、お見合い結婚のようにお互いのいいところだけを見せて、交際期間もほとんどないまま結婚する。そして、一緒に住んだ瞬間に、「ちょっと思ってたのと違う」ですぐ別れてしまったりするといったこともあります。

林: 実は、お見合い結婚のほうが、続くんですって。お見合い結婚って、お互いに「十分知ってない」という前提でいるから、うまくいく。 逆に「あなたしかいない!」という気持ちで結婚すると、想定外のことが起こると弱い。だから就職も「天職です」と思ってしまうとダメだなと思っているんです。

ロフトワークでも新卒採用を5年ぐらい前からやっていたんですけど、2千人ぐらい応募が来るんですよ。その中から5人に絞らなくてはいけないんですが、本当にたいへん。どうやって採用したらいいかと知恵を絞り、面接したりグループディスカッションやってもらったり細評して選んだら、その2千人から選んだ3人のうちのひとりが、まだなんにもはじまっていないのに、3ヵ月後ぐらいに辞めてしまって。

「僕のまわりはまだ働いていない友だちが多くて、働くことの意味が、僕にはまだわかりません」と言われたときに、その子がどうこうじゃなくて、頑張って2千人の中から選んだけれどこういうこともあるし、新卒採用はすごく難しいことを実感しました。

堀: どうしてその子を選んだんでしょうか?

林: その子は男性だったんですけど、普通に面接していると、女性ばかり採りたくなってしまう。学生のときからきちんと考えてるのは女子学生で、志望動機もきちんと言えるのも女性。

でも男女のバランスとりたいなあ、男性もとりたいなあ、うーん・・・という中で選んだ彼がそういうことになっちゃって。今はその子もイキイキと働いているんですけど、新卒採用がすごく難しいなと思いました。

堀: 林さん、お見合い結婚の方がうまくいくという話からはじまって、新しい採用方法があるという話をされてましたが。

林: ロフトワークでは、「折り紙つき採用」を行っています。社員が推薦し、入りたい人と一緒に会社に推薦状を出す。そうすると、書類選考も一次選考もパスできて、社長面接1回だけ。なぜかというと、ロフトワークをよく知っている社員と、「自分が入りたい」がセットだからです。折り紙をつけた社員には、入ったらインセンティブもあります。

それとは別に、新しい働き方という意味では、「TOKYO WORK DESIGN WEEK」というイベントがありまして、スピーカーで出たんですけど、Job(ジョブ)と言うかWork(ワーク)と言うかで全然印象って違うよね、という話になりました。

ワークというと、自分の人生をどういうふうに使おうか、会社で働いていることだけではない。ジョブっていうと、企業から雇われて与えられてるっていう印象がある。だから、新しい言葉をつけてあげて、概念を変えていくというのが大切なのかなーという気がしました。

ワークデザインじゃなくてキャリアデザインだと、ずいぶん印象が違って聞こえませんか?