安倍首相の靖国参拝は〝極秘訪米〟で情勢探った飯島内閣官房参与の「ミスリード」か?

在米大使館もキャッチできなかった「隠密行動」
『毎日新聞』(1月17日付朝刊)の一面と三面「検証・首相靖国参拝」記事中に「飯島勲内閣官房参与が昨年12月中旬に極秘でワシントンを訪問した」とあったが、事実である。
実は、筆者のもとに今月初旬、米国のカウンターパートである『オリエンタル・エコノミスト』のリチャード・カッツ編集長(ニューヨーク州立大学客員教授)からメールが届き、そこには「安倍晋三首相が靖国神社を参拝した12月26日の2週間ほど前、飯島勲氏がワシントンに来てオバマ政権の対日政策関係者と会談。帰国後、米側は首相参拝に対してOKサインを出したと報告した、と言われている」とあった。
要は、安倍首相が米側の首相参拝に対する否定的な反応を見誤ったのは、飯島内閣官房参与が米側の意向をミスリードしたからではないかと言っているのだ。同メールには情報源の名前もあった。恐らく『毎日』のワシントン特派員は、その情報源から同趣旨の話を聞いたのであろう。
まずは、飯島氏訪米について。同氏が12月11日にニューヨークへ向かったことは確認できた。だが、その後の行動は殆ど掌握できていない。なぜか。同氏は訪米に当たって、外務省に通訳やクルマの手配を求めなかったため、在米日本大使館(佐々江賢一郎駐米大使・74年入省)が同氏の所在を含め、行動をキャッチできなかったからだ。まさに「隠密行動」である。
不思議なことは、先の情報にあるように、本当に米政権の対日政策関係者と面談し、首相参拝について打診をしたのであれば、後日にも在米大使館政務班がその詳細を把握できたはずだが、今なお詳細が判明していないのだ。
飯島氏がワシントンDC郊外のダレス空港でジョン・マケイン上院議員(共和党)と短時間会談していたことは分かっている。それも、ウクライナに向かうマケイン氏が「空港であれば会います」ということで実現したというのだ。
首相在任中に6回参拝した小泉純一郎元首相の政務担当首相秘書官を務めた飯島氏が、安倍首相に昨年秋の例大祭での参拝を進言したのは周知のことである。それだけではない。飯島氏は12月26日の安倍首相参拝直前、靖国神社内での首相の動線についても助言していたというのだ。