首都直下M7.3巨大地震あなたと家族が生き残る、たった「五つのルール」「死者2万3000人」の政府シミュレーションは甘すぎる

週刊現代 プロフィール

一方、内陸の東京都心から都下、埼玉・千葉方面にかけての地域では、地震後あわてて帰宅したり、避難所への移動を始める前にするべきことがある。

「それは周辺の人々を助けることと、初期消火です。

阪神・淡路大震災のときも、倒壊した家屋などで生き埋めになった人のうち、近隣の人々が助け出した2万7000人の8割が助かりましたが、消防や自衛隊が掘り出した8000人では半数が亡くなった。

平時の火災などとは違い、大地震の際は、いま、そこにいる人々が互いに全力で助け合わなければ、生き残れない」(渡辺氏)

さらに、都心に勤めている人が無理に郊外に帰ろうとすれば、大きな死の危険が待っている。

実は、都心を囲む環七通り沿いの世田谷区、杉並区、北区、足立区などには木造住宅密集地域、通称「木密」が広がり、地震時には大規模な火災に包まれると予想されている。

「大火災の輪を運よく抜けられても、神奈川方面に帰ろうとする人は大変です。都心南部直下地震の震源を見ると、多摩川にかかる橋が直撃を受けて落下している可能性もある。行き場を失った大量の人が滞留し、混乱が広がる可能性は否定できない」(渡辺氏)

橋梁への長周期地震動の影響を研究してきた、東京大学・藤野陽三名誉教授も、こう指摘する。

「3・11の際、横浜ベイブリッジでは長周期地震動で振幅60cmもの揺れが発生し、走行中のトラック1台が横転する事故が起きました。この影響で30時間、交通がストップしたのです。

もし高速道路で複数の車両が横転し、走行を諦めた人々が高架橋の上に車を乗り捨てて逃げてしまったら、そのルートは長期間、機能しないことになる」

高架橋が通れないとなれば、首都圏の交通網のマヒに拍車がかかる。心配はそれだけではない。

「隅田川などに架かっている永代橋のような古い橋は、耐震補強はされているはずですが、直下型の地震に共振し、壊れないまでも大きく変形する可能性がある。

以前、警察の方がこれを本気で心配して相談に来たことがありました。『警察官は埼玉方面に住んでいる者が多く、隅田川に架かる橋が全部通行止めになると都心に向かえない。大丈夫だろうか』と」(藤野氏)